法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『異世界美少女受肉おじさんと』雑多な感想

 サイゲームズのWEB漫画サイトのサイコミで連載中の漫画、通称「ファ美肉」を2022年に1クールでTVアニメ化。制作会社はOLMで、吉岡大輔PDのチームが担当。

 異世界転移時に男性が金髪美少女に変身させられてしまう、いわゆるTSFジャンルのひとつ。そのジャンルのTVアニメ化が目白押しだった2023年の、前哨的なアニメ化だったといえるかもしれない。
 しかしタイトルに「おじさん」とあるが、32歳というファンタジーの大人としては特に年老いているわけでもなく、背が低くとも瘦せ型で目元を隠していて男臭さもあまりない。それがいっしょに転移した高身長美男子の親友とともに異世界珍道中をくりひろげる。女体化をふくむボーイズラブジャンルと考えるのが正確か。


 そこでTVアニメだが、良くも悪くも原作のイメージをなぞってそのまま映像化したという感じだ。
 頭身や目鼻立ちのバランスなど、絵柄のイメージは再現されているが、細い描線でシャープに仕上げている原作と比べて、描線が太めで描きこみが少なく、簡素になっている感が強い。色彩は原作からして簡素なので、わざわざアニメにしただけのプラスの魅力を感じられなかった。

 もともと原作もセクシーさでアピールしているわけでもなく、ラブコメではあるが極端にストイック。そこから主人公以上に姿形を変えた別の転移勇者と出会って、過去に挑戦できなかった悔いを晴らすドラマに立ちあっていくことで主人公コンビも変化していく。
 つまり1クールで別の転移勇者に出会う前*1に終わったTVアニメでは、出オチ部分だけが映像されたにすぎない。その出オチ部分が原作でも最大のアピールポイントではあろうが、作品の発展性を引き出せていない残念さを感じた。

*1:姿形が転移前と変わらない、ある意味で典型的な「なろう系」をパロディしたような不運な勇者少年とは出会っている。