みかみてれんによる百合ライトノベルを、倒産したジーベックの後継的な会社studioMOTHERがTVアニメ化。高校デビューして学園カースト上位の一員に入った少女が、周囲の評価と自認のギャップに右往左往するドラマが展開される。
2025年に物語の途中まで1クール放送し、13話から17話までを2026年1月1日に一挙公開するという変則的な映像化をおこなった。
kojikoji名義の小島大和*1によるキャラクターデザインは、あまり竹嶋えくの挿絵の繊細さを再現せず、ハイライトを多めに美麗に見せつつも丸みをおびたアニメらしい作画に落としこんでいる。
撮影効果もふくめた絵柄の雰囲気だけ比べるならば、制作体制が会社ごと崩壊した『ささやくように恋を唄う』の初回が再現度でまさっていた気はする。
一方でこちらは、アニメーションとしては、意外と低めで安定。百合作品には珍しいライトタッチのエロコメらしく、けっこうフェティッシュな女体の作画がジーベックを思わせる。
ただし多数の作画監督を投入して絵柄を安定させているところは現代のアニメ的。ジーベック作品なら序盤で飛ばして中盤でへたれるのが通例だった。
第4話までをひとつの話と見れば、いくつかの問題の種を周囲に植えつけつつも、主人公が少しずつ自信を回復しながら、自分を高みへひっぱりあげようとする相手との友愛と恋愛をたゆたう百合作品としてきれいにまとまっている。
第8話まではもうひとりのヒロインとの三角関係。ただし主人公が恋人としてとりあいになりながら、実態としては主人公が鞘当てになっているところが同性同士のラブコメならではのホモソーシャル感。しかしライトタッチの語り口ゆえに重い過去や現在が描かれても見やすい。ひとつのクライマックスにあたる第8話が坂田純一*2コンテ。FPSゲーム描写で3DCG製の画面を多用しているし、もちろん総作監などで日本人アニメーターも入っているが、普段より少人数の海外作監原画でクライマックスを支えられるだけの画面を保てているところが立派。
そして1クールは新たな恋人候補と距離をちぢめただけで終わり、きちんと物語を閉じるのは、2026年初頭に公開された最後の友人の秘密から一大イベントに全員が集合するエピソードまで。そのひとまずの結論はポリアモリーを知っているか否かで印象が大きく変わるだろうか。しかし意外と真面目に笑えて泣けるアニメになっていると思う。友愛と恋愛、自己嫌悪と自己評価のあわいを描きながら、徹底的にヘタレてピエロになってしまう主人公のおかげで皆に愛される立派すぎる人格が鼻につかない。
*1:小島大和 - 作画@wiki - atwiki(アットウィキ)
*2:1987年の初監督作であるOVA『エルフ・17』が、DVD化も配信もおこなわれず、長らく視聴困難状態だったが、ようやく初Blu-ray化されるとのこと。



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