交通事故から十数年間、昏睡していた叔父が目ざめた。叔父の事故により親類関係が崩壊した少年は、気がすすまないが会いに行かざるをえない。しかし叔父は異世界に転生していたと語り、奇行にはしる。どうやらその説明は事実らしかったが、SEGA信者の叔父は異世界でも孤立して奇行をつづけていた……
2018年から連載されている異世界漫画を、2022年に1クールでTVアニメ化。珍しく原作をしっかり先に読んでいる作品。キャラクターデザインは大和田寛。
甥がネタバレを避ける性格であることと、もともと叔父の興味関心に極端な偏りがあること、そして自他の記憶を消す魔法を安易につかっていたことで、過去の出来事を映像として再生しながら異世界冒険をリアルタイムのように論評する。いわゆるダンジョン配信物に近い語り口。
異世界パートは構成要素自体は典型的な召喚チート。なにげなく獲得した異能にとてつもない発展性がある設定も、キリスト教モデルの宗教組織の非人道ぶりも、エルフやゴブリンといったモンスターも、叔父をしたう美少女や若者も、好意に朴念仁すぎる叔父も、最低限の工夫はあるが目新しいところはない。
しかし展開が二転三転して、見ていて飽きさせない。過去の出来事を映像化して論評する構造のため、だれるところは早送りですませるし、現世パートで興味をひかせてから時系列を前後させて見たいところだけ見せる。叔父の主観と事実の齟齬で意外性を演出する。ご都合主義なところや過剰なところは論評でツッコミが入るので意識的と理解できて安心できる。この語り口のおかげで、何が起きるか原作で知っていても楽しんで見ることができた。
いわゆるなろう系作品で感じる起伏の弱さは、やはり設定や描写などの要素そのものよりも、こきざみに更新して読者をつなぎとめるWEB小説のメソッドに由来するテンポ感を、漫画化やアニメ化において再構成できていないことに由来するのではないか、と思った。
絵作りはドット絵のOPをのぞけば良くも悪くも原作からの飛躍は少ない。しかしけっこう独特の描線をできるだけアニメとして成立できるデザインにとりこんでいて、作画も現代アニメとしては少人数のスタッフで安定させて、全体のクオリティは高め。ただ本放送では新型コロナ禍を理由にして、中盤以降や最終話が放送延期となった。
ダンジョン配信物に近い形式ということもあり、原作どおり異世界での出来事は主人公視点のPOVカットがかなり多め。背景動画は使わずとも、多用されることの物珍しさはある。突出したところとして、第11話冒頭のキャラクター作画のフォルムがいいが、原画がクレジット順に担当しているならば佐藤浩一の仕事だろうか?
