法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』ウマい!オモシロい!腹ぺこグルメ

ミニ映像集の後、まずオーストラリアからアマチュア料理人を集めたスイーツ対決番組。今回は「重力に逆らう菓子」というテーマの第一回戦のみ紹介。
薄い円盤状の飴を2枚、縦にジグザグに組んでから上にボリュームあるケーキを乗せるアイデア。熱い紅茶のグラスに薄い飴の蓋とバニラアイスを乗せ、時間がくると溶けて落ちてミルクティーに変わるアイデア。球体のチョコレートを斜めにくっつけて塔にするアイデア。チョコレートの輪と板で弱々しく見える土台をつくり、上に普通のケーキを乗せてギャップをねらうアイデア
なかでもレンガ職人のマイケルによる、空中のコップから中身が注がれるタルトが、宙に浮くパスタなどの前例はあるものの完成度が高いと思った。
しかしタルトの色彩を気にしすぎ、生焼けになって不味いとマイケルは評価された。紅茶に自然にアイスを落とすアイデアも、むしろ重力に従っているとツッコミを受けて、ふたりは敗者復活戦にかける。
そのために番組を主宰するパティシエの見本、急速冷凍で層をつくった球体菓子をチョコレートの薄い帽子でつつんだ菓子を、レシピ通りに再現することに。そしてミルクティーをつくったケイトが勝ち残り、トーナメントを勝ち進んで優勝したという。しかし見本の帽子が浮いている方法はただの磁石で、製菓技術と無関係なハッタリでしかなかったのはどうなんだろう……


次にイギリスの三ツ星シェフが宇宙飛行士のため、NASAの審査をくぐりぬける美味しい宇宙食を開発する。
よくインターネットでステロタイプギャグにされるイギリス料理だが、ちゃんとミシュランに掲載されるレストランもあるし、映像で見てもよく工夫されて美味しそうだ。
ただし宇宙食にするためには飛び散らない安全性や、アルコールを隠し味にも入れないこと、塩分を抑えること、さらに厳しい衛生検査をクリアしなければならない。
宇宙飛行士の好みにあわせてバーベキュー風のソーセージ料理にしたり、高級なビーフシチューにしたり。検査期間が足りないのでパウチを断念して加熱殺菌される缶詰につめこみ、試作であふれた汁気はソーセージの種類を変えたりマッシュポテトに水分を吸わせて解決。ビーフシチューは塩分のかわりに刻み昆布で旨味をおぎなう。
スタジオに登場した再現料理も、たしかにどれも美味しそうだった。


ペルーのアンデス山脈に、世界最高峰のマラス塩田がある。5月から10月にかけて塩分をふくんだ湧水を棚田に流して、日光で蒸発して浮かんできた結晶を集めて盛って乾燥させ、さらに高所にある倉庫へ運びこむ。千年前から変わらぬ方法。
トウモロコシとアボカドのサラダを食べ、アルコール度数2%のトウモロコシビールで喉をうるおす。しかし世界のグルメから注目される高級塩を重労働で作っているのに、月収はペルー内でも平均以下。
そこで外国で塩を売っていた男が帰国して現地の買取価格と末端価格の大きすぎる差を教えて、塩を買いとっている組合を調査して高い利益をあげていることをつきとめ、交渉してボーナスを勝ちとった。塩田を代々引きついでいる夫婦の娘も無事に出産して、次の世代につながるだろう期待がもてる。
伝統文化の素晴らしさと、それを現代社会に継続させるための運動を同時に描いたドキュメンタリとして印象深かった。