鈴村家に集まっていた時、恒例の海辺のファッションショーでモデルに欠員が出たことを知らされる。来ていたデザイナーの目に止まった鈴村は、代役としてランウェイを歩くことになるが……
守護このみ脚本、赤田信人と沼田広の共同作画監督。絵コンテとして、『ゲゲゲの鬼太郎』6期のシリーズディレクターをつとめあげた小川孝治が今作初参加。
前回*1につづいて敵幹部ヌメリーが出撃を要請されるシーンがいい。バトラーが薬を処方してもらっていたり、愚痴るヌメリーを必死におだてたり、ずっと不穏な空気をただよわせていたが単なる中間管理職だったのではと見方が改まった。
そんなヌメリーがファッションショーに潜入してやる気パワーを奪うわけだが、トラブルに乗じてモデルに変装させた怪物をランウェイに出撃させるだけで、鈴村たちが困ったトラブルはあくまで人間側で純粋に発生したものという構図も今作らしかった。人間のやる気を出させて収奪することが目的なのだから、イベントそのものを邪魔したりはしない。
そうしてプリキュア活動と並行して、デザイナーやモデルたちがトラブルを協力して乗りこえるドラマが展開できた。待機中はひとりヘッドホンをつけて周囲を遮断していたモデルが、同じ役割を分担した鈴村に語りかけるところが印象的。
全体として鈴村のドラマとしてよくできていたと思う。ひっこみじあんで通常回では目立ちにくいが、今回のようにドラマの流れがきちんとしていれば変身シーンの可愛らしさもよくわかる。
ただかわりに意外と夏海が機能していないことも痛感した。「トロピカってる」という他者への肯定が決め台詞なだけに意外と受動的なキャラクターとなっており、初回で感じた野性的な魅力があまり出ないことが多い。
先述の名もなきモデルがトラブルフォローのなかで語る「ワクワク」は、夏海の台詞だとしても違和感なく、逆にいえば夏海の立場はこれまでもゲストが分担しても成立したことが多かったろうと思わせる。