法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season18』第6話 右京の目

かつて誘拐事件で知りあった女性にたのまれて空き室に入ったところ、催涙ガスを放出する罠で杉下は失明してしまった。
そのマンションの周辺でさまざまな人間が怪しい行動をとり、殺人事件まで起きていたのだが、全体像ははっきりしない。


根本ノンジ脚本。偶然だよりのコントのような発端から、盲目のまま捜査をつづける物語がはじまり、暗闇のおおたちまわりまで演じる。
ドント・ブリーズ』や『暗くなるまで待って』のようなサスペンス映画を思わせるシチュエーションに、無理やりシリーズ主人公を落としこむことを優先したような展開。しかし目先を変えたことの面白味はあったし、最後まで謎解きをつづける展開の密度も濃いので飽きなかった。
何より、成功率の低そうな罠と、犯人に目星をつける音の手がかりが、密接に真相とむすびついていて、罠の成功率を高めるフォローとしても機能していたので、最後にはそこそこの納得感があった。


ただ、過去の逸話で空き室で遺体になっていたのがホームレスというだけでなく、出ていったはずの生活保護受給者が孤独死していたと設定しておけば、より真相と密接にむすびついたのではないか。
あるいは、たまたま杉下に出会って間接的に助けた盲目の少女のように、公的支援を必要とする社会的弱者の側に杉下が立つ物語ということを明確に説明すれば、より一貫性があったかもしれない。