法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season20』第10話 紅茶のおいしい喫茶店

仮装通貨のロマンス詐欺をおこなっているグループを捜査するため、角田課長にたのまれて特命係は張り込みをおこなう。ちょうど真向かいにある喫茶店に身分を明かして雇ってもらい、オーナーや常連客と楽しく紅茶の会話をしながら動きを待つが……


根本ノンジ脚本。ここ最近のシリーズで杉下の初歩的な指摘を鑑識や検死で見逃す描写の多さに疑問をおぼえたが、今回はきちんと解剖所見に言及がきちんとあった。
まず、喫茶店のオーナーが杉下に求められて紅茶のセカンドフラッシュについて私見を語り、それを杉下が「興味深い」と評したことから、見事な茶葉をしいれているのに茶の評価をする能力がなく、見せかけのオーナーという可能性を感じた。
また、常連客の女性が、別荘に夫がいて自分も近々そこに行くという杉下との会話から、そのいわゆる別荘が刑務所という可能性も考えた。
さらに、その直後にコーヒーに髪が入っているとクレームをつけた名もなき客が、冠城がちょうど尾行にいこうとした瞬間だったことから、妨害の可能性も考えた。


やがて過去の原野商法などが言及され、常連客の立ち位置がだいたい判明し、直後の詐欺実行犯の殺害についても見当がついた。
名もなき客については説明がなかったが、オーナーの正体や計画はほぼ予想どおり。杉下の淹れた紅茶が殺害につかわれた皮肉や、状況証拠を指摘されても言質をとらせないオーナーの慎重さなど、知能犯と名探偵のせめぎあいに見どころがあった。
しかしオーナーの過去の罪を立証する物的証拠を登場させるため、復讐に残りの人生をそそいだ常連客がオーナーの顔を忘れていたことになったのは、やや違和感があった。ここはたとえば過去の原野商法は詐欺と認識していなかったという描写がほしかったところ。