法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season18』第3話 少女

猫探しをしていた特命係は、不思議な少女に助けてもらう。お礼をいいに少女のマンションへ向かったが、鍵は開いているのに何の反応もない。その時の少女は殺人犯の男に口をふさがれていたのだが……


殺人犯と幼女が奇妙な同行をおこなう物語を、神森万里江脚本で展開。極端にひねったミステリではないものの、2時間サスペンスから無駄を排して1時間に凝縮したような、このドラマシリーズの長所がシンプルに出ていた。
連れ去られたようで、むしろ積極的に状況を動かしていく幼女は、大島美優が好演。演出も良かったのだろうが、日本の子役にしては演技がオーバーにすぎず、大人びた恐るべき子供をうまく表現していた。


しかし殺人犯が幼女を拉致する恐怖の追跡劇で1時間、殺人犯の真意が明らかになってから新たな事件で1時間という構成にすれば、ちょうどシリーズ開始にふさわしいスペシャルになったのではないかとも思う。
見せ場にできる大立ち回りもあるし、ゲストの立場でもメインの立場でも緊迫する局面が多い。重たい物語の結末に小さなひねりが入って、わずかな救いとともに伏線回収の面白味も生まれた。
社会から孤立した男と幼女をていねいに風景へ配置すれば、映像作品として重厚な絵も作れるだろう。それと導入の猫探しは本筋との関連性が弱かったが、尺があればもう少しうまく接続できたように思える。