法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season17』第16話 容疑者 内村完爾

撲殺された人権派弁護士のそばにいた内村が、容疑者として神奈川県警に拘束される。警視庁は手を出しづらく、珍しく特命係に捜査権が与えられることに。
やがて弁護士が担当していた殺人犯が、出所後に近くの線香工場の従業員となっていたことがわかる。その殺人犯は、内村の親友の娘を殺していた……


脚本は初参加の児玉頼子。キャラクターの言動などでの違和感はほとんどなかったが、シリーズ当初からのメインキャラクターのひとりが犯人扱いされる予告で期待した衝撃性はほとんどない。
途中で明らかになった情報から親友をかばっていることに見当がつくし、事件そのもののスケールも刑事部長がかかわるにしては小さい。殺された弁護士も、良くも悪くも人権派として揶揄も美化もしていないことで、キャラクターが弱い。
二転三転するサスペンスとしての面白味も弱くて、インターネットを介した情報の流出と特定がおこなわれ、そのまま真犯人に直結してしまう。画像に自分が映りこんでしまうネタは、少し前のフリマアプリ回に使うべきだと感じた。


行き違いから衝動的に殺害してしまった殺人犯の悔恨や、その殺人犯に極刑が適用されなかった遺族の苦悩を、もっと時間をかけて描くべき物語だったと感じる。
そういう人情劇は好みではないが、じっくりていねいに作ればそういうエピソードとして理解できた。内村が容疑者になるという売りが、テーマをぼやけさせた問題を感じる。