まず、日英バイリンガル弁護士の山口貴士氏が、国連で地球温暖化の危機を訴えたグレタ氏に対して、「下品」な「感情論」と評していた。
グレタ・トゥンベリに対して「若い者は元気があっていいなあ」と思いますが、若者の熱情を利用し、共感の得やすい16歳女性を国際的な舞台に立たせ、感情論で扇動して善悪二元論で世論を誘導させる方法論は下品で、賛成できない。地球温暖化の問題は、感情論ではなく、サイエンスにより扱われるべき。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) September 24, 2019
これに対して、そもそもグレタ氏は「サイエンス」でもって語っていると指摘する反論がされている。leglaneur1氏は「私じゃなくて科学の声を聞け」とグレタ氏の主張を要約した。
グレタが今まで何回「私じゃなくて科学の声を聞け」と言ってきたかも知らないでいっちょかみして変な事を言う人。 https://t.co/hWQSsC7t03
— leglaneur (@leglaneur1) September 24, 2019
しかし、leglaneur1氏のツイートに対して、はてなブックマークでは国連演説そのものはサイエンスが存在しなかったかのような反応が散見される*1。
[B! 科学] leglaneur on Twitter: "グレタが今まで何回「私じゃなくて科学の声を聞け」と言ってきたかも知らないでいっちょかみして変な事を言う人。 https://t.co/hWQSsC7t03"
b:id:doroyamada 国連演説でもそう言えばよかったのに。
b:id:shag 圧倒的に今回の演説で彼女を知った人の方が多いわけで、過去からこうだという話をマウントに使ってもなあ。
それでは、NHKが書き起こしているグレタ氏の演説を参照しよう。
www3.nhk.or.jp
そもそも、すべてが間違っているのです。私はここにいるべきではありません。私は海の反対側で、学校に通っているべきなのです。
30年以上にわたり、科学が示す事実は極めて明確でした。なのに、あなた方は、事実から目を背け続け、必要な政策や解決策が見えてすらいないのに、この場所に来て「十分にやってきた」と言えるのでしょうか。
この演説からして、「私じゃなくて科学の声を聞け」とグレタ氏の主張を要約しても大きな誤りだとは思われない。
さらに全文を見ていけば、グレタ氏が複数の具体的な数値を引いていることもわかる。
そもそも、感情的に主張することと主張が科学的であることは両立する。逆に、反科学が理性を装う詐術もありふれているし、その詐術は時に話者自身を騙す。
少なくとも山口氏の「地球温暖化の問題は、感情論ではなく、サイエンスにより扱われるべき」という反応は、グレタ氏に対しては適切なものとは思えない。
*1:b:id:kimurahayao氏のように、「全文サッと目を通しただけだけで答えが書いてある」ときちんと指摘するコメントもある。