環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏が香港革命を応援したことに対して、中国共産党の機関紙が反発したという。
グレタさんが香港デモ支持、中国紙「危険なPR」と批判:朝日新聞デジタル
「火炎瓶は環境汚染だ」との中国ネットユーザーの声を引用しつつ、「香港の反政府抗議者は世界の注意を引くためにグレタを利用している」などと批判した。
インターネットから引用する内容が、これまでトゥーンベリ氏があびてきた誹謗中傷と同じレベルなところが一周まわって面白い。
引用した前後に、中国政権がトゥーンベリ氏に好意的だったこと、その背景として国際ルールを守らせたい側だったことが指摘されている。
中国はこれまでは国営新華社通信がグレタさんの特集記事を配信するなど好意的だった。
温室効果ガスの排出量が世界でもっとも多い中国は、2番目に多い米国が温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から離脱手続きを進めていることを批判している。
排出量そのものは最多でも、ひとりあたりの排出量は低く、環境破壊を抑制する技術も発展させているので*1、排出抑制の打撃が小さいという側面があったのだろう。
そもそもトゥーンベリ氏のツイッターを見ると、世界各地の環境活動を応援するツイートで、中国をふくめたものが複数ある。どれも今年9月の演説で注目される以前のものだ。
1325 places in 98 countries. And counting.
— Greta Thunberg (@GretaThunberg) 2019年3月13日
2days until 15th of March. Welcome China, Tanzania, Vanuatu, Cuba, Pakistan and many, many more. #FridaysForFuture #schoolstrike4climate https://t.co/EFTn7eCfm6
“Only democracy, together with science, and goodwill between nations can save us.
— Greta Thunberg (@GretaThunberg) 2019年3月17日
The rest of the world must strongly support those children who are not allowed to protest.”
Interview in South China Morning Post. https://t.co/3jlwAcPyaN #FridaysForFuture #SchoolStrike4Climate pic.twitter.com/mMILfjbwBH
Howey Ou is a true hero. We are all behind you.
— Greta Thunberg (@GretaThunberg) 2019年5月26日
Guilin, China. #FridaysForFuture https://t.co/oB34G7jdDd
中央のツイートなどは、香港の英字新聞にリンクしている。読んでみると、温室効果ガス排出量は中国が世界最多で27%をしめるという指摘があった。
今回トゥーンベリ氏が初めて中国批判をおこなったかのようにインターネットの一部を驚かせているが、中国が初めて反発したくなる批判がされたという真相にすぎなかった。
国外への建前を維持することはできるが、国内には秩序を押しつけて弾圧する中国政府。これはこれで全体主義国家らしいふるまいではある。もちろん誉め言葉ではないが。