法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』謎と危険! 怪しい金儲けの現場に潜入

ゲストは自身も会社を経営する森泉や、新しいタイヤキの店を開いたものの潰してしまったレッド吉田など。
挑戦から失敗まで流れをきちんと語ったレッド吉田のエピソードが興味深く、タイヤキの口にソフトクリームが入った菓子を、両方を足した価格設定にして高くなりすぎたり、最初におにぎり店を作ろうとしていた屋号のまま出店してしまったり……


「世界の変わったお仕事:ブルンジのバナナ配達人 &キューバの商売」は、バナナが主食となっているアフリカのブルンジと、社会制度とその変化によってキューバで起きた変化をリポート。
自転車にバナナを直接結ぶように満載して運ぶブルンジの人々。急な坂をかけおりる時はタイヤが消耗しないようブレーキをかけられず、のぼる時にはトラックにしがみついて楽しようとして転倒したりと、とにかく危なっかしいが、その代わりに田舎から都会へと果実を運んだだけの対価はえられるという。しかしせっかくなら数十種類もあって主食となっているというバナナの調理風景なども見たかったかな。映画『ルワンダの涙』*1で印象的に使われていたバナナビールの発酵風景は興味深かったが、まさかアルコール飲料だけに利用しているわけもないだろう。
キューバにおいて医師より儲かる職業として人々が転身しているのが、外国人観光客向けのタクシー運転手。もともと社会主義のため医師の給料は固定されていること、観光客は異なる通貨を使っているため貨幣の価値相場の落差がそのまま収入に反映されること、といった理由だという。しかしタクシー運転手の職が求められるほど観光客が来ているということは国家が対外開放されているということでもあろう。事実、国策の変更にしたがって現在は観光客向けの仕事と国内の仕事の格差は少なくなりつつあるという。
「アンダーカバーボス」は、大企業の最高責任者が変装して自社の現場に潜入するドキュメンタリーシリーズ。今回はカナダの公共交通機関カルガリー交通の若きトップが自慢の髭をそりおとして、バスの整備点検や警備隊の体験をおこなう。
現場の問題を洗い出しつつ世話になった人々が目指す未来のため支援するという、全体としては良い話ではある。しかしそもそも中年の新人が仕事をしようとするドキュメンタリーと騙しつつカメラが入っているわけで、ヤラセなしの潜入だとしてもまったくの普段の姿ではないだろうな、とも思う。
「インドの砂マフィア」は、建築資材として砂を違法採掘する業者をオーストラリアの取材陣が追う。インドには砂漠もあるが建材には向かず、粒子がふぞろいで粘着的な川底や海岸の砂が好まれるという。鉄筋でなければ塩害は問題ないということだろうか、実際に海岸の砂浜が樹木の生えている間際まで数メートルの深さで掘られたり、砂を満載した大型トラックの車列が堂々と道路を走っていたり。
もちろんそれだけ堂々としているということは、現地の公権力も見逃しているわけで、実際に取材陣が突撃してもかわされてしまう。畑で違法採掘していたことを訴えた父親が、後日に砂マフィアに銃殺され、警察はろくに調査をしなかったという男性も登場する。
そうした砂マフィアに抵抗しようとする人ももちろんいる。建築に使われている砂の来歴を追跡して、そうした情報を固めることで違法採掘を止めていこうという女性が番組に登場した。
あまりにも急すぎる経済成長をおこなっている国家らしい光景で、これ単独のドキュメンタリーを見たいと思った。実際、5年ほど前に『サンドウォーズ』というタイトルのドキュメンタリーがNHKBS1にて放映され、各国の砂の過剰採掘が描かれていたという。