法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season17』第13話 10億分の1

ビルから転落死した女性が、冠城の名刺を持っていた。何かを悩んでいる女性を直前に見かけて、相談に乗るといってわたしたのだという。
その女性はネットカフェで寝泊まりし、フリマアプリを使ったインターネットごしの転売でしのいでいた。そこにヤクザのかかわりも見えてくる……


いかにも「メルカリ」を思わせる架空アプリ「ウルカエール」を舞台に、現在のフリマアプリ市場の光と闇を描いていく。ひさしぶりにこのドラマらしい、インターネットの多用な側面を描いて美化も悪魔化もしすぎない良さを感じさせた。
さまざまな人物と安易に出会ってしまうことから、ヤクザの受け渡しの行程に利用されもする。一方、フリマをとおした出会いでも大切なコミュニケーションなのだという考えも肯定する。
苦しい人々の現状によりそった名作「ボーダーライン」を思わせる部分も多いが、登場人物がポジティブだったり、転落死の細部を推理していく展開が細かかったりして、印象はけっこう異なる。
女性たちの嫉妬と愛情をめぐる物語として、必ずしも好みな作りではないが、よくできていると感じられた。


ミステリとしては、手がかりを序盤に露骨に見せたことで、真犯人は最初からあからさまだと思ったが、少しずらした真相なのも良かった。
現場にあったと思われる転売物の正体がけっこう意外かつ納得できるもので、それが死の状況にもかかわっている。