法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season19』第1話 プレゼンス

春先に交差点で停止していた白バイ警官が背後から銃撃された。弾丸が貫通して一命をとりとめた彼女は、半年後に復帰して一課に配属されるが、男社会に冷遇される。
関係者だからと捜査にも参加できない彼女を助けるように、特命係はヤクザや謎の死をとげた容疑者に接触していき、仮想現実世界にたどりつく……


輿水泰弘脚本による約1時間半の初回拡大スペシャル。今回は特命係の存在を都市伝説ととらえていた女性警官や周囲との衝突をとおして、シリーズの人間関係や基本設定を説明しつつ、事件解明は次回にもちこし*1
特命係のような部署がリアルには存在しえないことに自覚的な描写や、特命係が動かないよう釘をさしたら逆にヤクザに接触されて通常よりも怒り嘆く角田課長など、キャラクタードラマとしては楽しかった。暴対二課ながらヤクザ嫌いな角田課長の性格がいきている。


しかし本筋と思われるVRゲームのディテールが甘くて、説得力を足す描写が少ないのが残念だった。
ゲームのログインを入国あつかいして歓迎するキャラクターがあからさまに実写の日本人。なぜVRゴーグルをつけただけで顔のついたアバターができるのかも謎。
たとえば、劇中の仮想現実の情景がお台場の商業施設ということは楽屋落ちのツッコミひとつで処理するのではなく、その施設をスキャンして仮想世界のディテールに使ったとか。あるいはスマホで顔写真を一枚撮って、それをアプリでトリミングして立体化すればリアルなアバターの顔面になるとか。そういった現実か、ほんの少しの未来を感じさせる描写を入れてほしい。
サイバー捜査を設定に組みこんで長いのだから、こうした描写には得意な考証スタッフを置いてほしい。かつては最新技術を極端に美化も悪魔化もしない現代的で良い刑事ドラマだったのだが……

*1:冒頭を見ていて高知白バイ警官事件を連想したが、警察組織が意外と復讐心で暴走したりしてないので、良くも悪くも全く違う展開になるだろう。