法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HUGっと!プリキュア』第30話 世界一周へGOGO!みんなの夏休み!

愛崎家の自家用ジェットで世界旅行へ出る皆。金属探知機にひっかかるルールーをはじめ、飛行機に乗ること自体が初めてな者も多い。しかし世界一周は早々と終わってしまう……


同じように各地をまわる『スマイルプリキュア!』第30話*1のようにエッセンスだけ楽しむエピソードになるかと思いきや、世界7ヶ国の強行軍を序盤に圧縮してギャグに転嫁。プリキュア陣のお仕事コスプレと困惑する野乃妹で視聴者を楽しませつつ、あわただしい旅は楽しくないことを見せていく。
それから後半の温泉で、ゆったり楽しむことの価値を見せていくわけだが……温泉のさまざまな楽しみを引きだせたのは温泉にゆっくりとどまったからであって、他の観光地でも時間をかけたなら同じように楽しむことができただろう。移動時間を考えれば世界旅行よりも国内旅行が現地時間を確保しやすいとはいえ、世界旅行そのものが悪いわけではないというフォローがどこかでほしかった。
たとえば、世界旅行は愛崎がプロデュースして皆は充分に楽しめず、温泉旅行は薬師寺がプロデュースして愛崎が強行軍を反省して、しかしあわただしい旅行もそれはそれで楽しいと野乃などがフォローする……みたいな展開にはできなかったか。
ムードの違う旅行を同じエピソードで楽しめたし、前半も後半も旅行の一側面をひきだしたリアリティは感じた。身近な場所への旅行も楽しいのだと子供に知ってもらう意義もあるとは思う。だからこそ、子供向け番組で対立構図をつくるならもう少し慎重にしてほしかった、というのが正直なところ。


ただまあ国内だから取材しやすかったのか、温泉のさまざまな楽しみのディテールはよくできていたし、第9話*2では余剰と思った妖怪のいる世界観が伏線として作用したのも良かった。
天狗の特色を温泉が原因とする伝説も、それらしい説話になっている上に、そのような伝説が作られていること自体に説得力があって感心。