法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』あんな壁こんな壁 全部乗り越えろSP

ゲストのひとり山下美月は話しかけるほど壁好き。いつものビデオ映像集も、モチーフを壁にしぼっている。


本編は、ペルーの岩壁につくられた防弾ガラス製のカプセルホテル「スカイロッジ・アドベンチャー・スイート」や、中国の断崖絶壁のような高山に生きる運搬業者を紹介。前者は初心者向けのロッククライミングや滑車を使った下山も楽しめる。後者はロープウェーが途中まで開通して楽になったというが、kg単位での安い賃金しかもらえないという。


他に、米国女優メーガンの、英国ヘンリー王子との結婚までの軌跡を紹介。慣例をぬりかえる*1ことで王室そのものの近代化をはかった結婚だった、という良さも悪さもある評判は聞いていたが、メーガンという女性のプロフィールはけっこう興味深い。
白人と黒人のダブルで、外交官になろうとしたが試験に落ちて挫折。そこでハリウッド女優になろうとしたが、白人や黒人の類型におさまらない肌の色が敬遠されたのか、大ヒットドラマに抜擢されるまでは台詞のない端役しかもらえなかったという。


最後に、ベルリンの壁の建造をめぐるドキュメンタリーを紹介。思えば、分断されたベルリン社会や壁崩壊のドキュメンタリーなら少し見たこともあるが、建造時についてはほとんど知らない。
厳密に細部まで決められた作戦書類を決行直前に見せて、工場の民兵まで動員して、午前0時から午前6時までに作り上げた柵。それに使った300tの鉄条網は、農地に使うためといって西ベルリンから購入したものだったという。その能力や知略を東ドイツ人民の生活向上に役立てていれば、少しは西側への亡命も減ったろうに。
また、東ベルリンに住む友人のパーティーに行った女性モニカ・フリントは、深夜の帰宅途中に列車が止められて、兵士がものものしく警備する駅をはなれて、歩いて帰ろうとした。境界線につくとすでに鉄条網は完成していたが、若い東ドイツ兵が鉄条網を広げて、見逃してくれたという。現場で発揮された個人の善性と、それを例外化する国家の抑圧。光州事件における地域閉鎖に着目した韓国映画『タクシー運転手』*2を連想した。

*1:250年前にも黒人の血が入った妃がいた、という話もあったが。

*2:『タクシー運転手 約束は海を越えて』 - 法華狼の日記