法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』天の川で星釣りを/ねがい星

アニメオリジナルの前半と、原作通りの後半を、七夕らしく星テーマでつなぐ。脚本はどちらも福島直浩。


「天の川で星釣りを」は、のび太しずちゃんのために短冊へ星をくださいといのったが、ジャイアンスネ夫に笑われてしまう。そこでドラえもんにもバカにされるかと思えば……
既存の秘密道具で雲の上に池をつくり、アレンジしたような秘密道具で水に反映した星を実際に取る。ハードSFではけしてないが、時空をねじまげて実際に星をとる無茶さを、それっぽく見せていくあたり原作らしいスコシフシギな味わいがある。
いろいろな特徴の星を釣りあげて、その特徴でさまざまな失敗をする展開も理科的で楽しい。しずちゃんのファンタジックな思いでオチにするが、終盤の思い切った行動が季節ネタとして美しい風景に反映されて、意外性と納得感があって良かった。
映像面でもけっこう力が入っていて、多様な星々は背景美術の技法で質感をもって描写され、ジャイアンへしっぺ返しする彗星は背景動画で祭りを飛び回る。


「ねがい星」は、使えないため捨てようとしていた秘密道具から、のび太がねがいをかなえる星をこっそり取る。そこにジャイアンスネ夫が対抗してきて……
2011年にアニメ化*1ずみの初期短編を、再アニメ化。後半のダジャレを大幅に増やすことでスラップスティックさを強めた。
実のところダジャレひとつひとつのクオリティは、音だけは一致している原作よりも低くて、好みではない。しかしあまりに数が多く、矢継ぎ早に視覚化されるから、「アザラシ・マイク」あたりでついつい笑ってしまった。ギャグの暴力だ。
また、コンテのもりたけしは作品に初参加。GONZO作品によく演出や監督として参加していたので意外だったが、思えば『かいけつゾロリ』の後期シリーズ構成として亜細亜堂ラインのつながりがあるのか。雨に降られたスネ夫ママの煽り構図に、ちょっと短編映画『ミニドラSOS』を思い出した。