法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

日韓トンネル経済効果の検証をつたえる報道を受けて、「麻生太郎は日韓トンネル推進派だ」をデマゴギーと「検証」したブログ記事があがっていたが

「日韓トンネル」物流利益は年間2253億円 対馬・壱岐経由で利用・収支予測 日帰り圏拡大 新たな観光需要

西南学院大の野田順康(としやす)教授(開発論)が利用・収支予測をまとめた。物流は年間営業利益を2253億円と試算。旅客は試算から外したが、「日帰り圏が韓国南部と九州・中国地方に形成され、新たな観光需要が期待される」とした。

 野田教授は元国土交通省国土計画局総合計画課長。日韓トンネルの検討もしたという。今回は日韓トンネル実現九州連絡協議会などから調査依頼を受けた。

『「日韓トンネル」物流利益は年間2253億円 対馬・壱岐経由で利用・収支予測』と長崎新聞/「試作坑を540mといえども掘っていたとはびっくり」 - Togetter

未知神明(みちがみ・あきら) @ontheroadx
http://arthurconandoyle.blog7.fc2.com/blog-entry-4.html 「麻生ネガキャン検証その3 いわゆる「日韓トンネル」ネタ」これ、10年前のネタなんだけど。「「オレたちのアソーさん」も推進メンバー」なんてデマ信じてる人が未だにいるなんて、確かに初めて知りました。


しかし実際に読めばわかるが、ブログを書いている名探偵コネン氏の「検証」は、“政策提言だから推進ではない”という屁理屈の与太話にすぎない*1
麻生ネガキャンのウソを暴く 麻生ネガキャン検証その3 いわゆる「日韓トンネル」ネタ

「推進している」とは一言も書かれていませんね。「政策提言を発表している」と書かれているのみです。いつから提言(考え・意見を皆の前に示すこと)という言葉には、推進(積極的に行動して物事を進行させる)の意味が含まれるようになったのでしょうか。いやいや不思議なこともあるものです。

現在2008年ですが、2003年当時の「夢」はどこに行ってしまったのでしょうか。提言されただけで、推進されることなく、もう忘却の彼方に打ち捨てられてしまったのでしょうか。

前後するが、自民党公式サイトから「実現に向けた政策提言を発表」という文章まで引用している。それが推進の意味をふくまないという読解力はユニークだ。

 自民党のホームページを確認すると、2003年6月19日付けのニュースの中で
http://www.jimin.jp/jimin/daily/03_06/19/150619a.shtml

 この構想(※注:日韓海底トンネル構想のこと)についてわが党は夢実現21世紀会議の「国づくりの夢実現検討委員会」が実現に向けた政策提言を発表している。

とあります。


また、Wikipediaの当該項目に対して情報源が不明瞭という指摘はいくらか妥当だが、1993年に出版された『日韓トンネルプロジェクト ネオ・シルクロードの起点から』で25人の顧問リストに麻生氏が確認できる事実とは無関係だ。

ウィキペディア日韓トンネル研究会顧問議員15名は、一体どんなリストを元に記載されているものなのでしょうか。『日韓トンネルプロジェクト ネオ・シルクロードの起点から』の名簿を元にしていれば、25名の名前が載っていなければおかしいわけですし、物故者はリストから外してあるので15名と少ないのかと思いきや、すでに鬼籍に入った人物もウィキペディアではリストアップされています。

さらに一般の流通ルートにのっていないリストをもちだしてWikipediaへの疑いを深めているが、1993年に出版された25人のリストを否定しなければならない前提を完全に忘れている。

 ますますウィキペディア情報の信憑性・信頼性への疑いを深めざるをえません。


名探偵コネン氏が本気で否定したいのなら、情報源そのものの信頼性を疑うべきだったのだ。
「政策提言」について、自民党の公式サイトの信頼性を疑うことは困難だが、もうひとつの自民党機関紙は「統一教会の『文鮮明師の紹介』ページ」に掲載されたもの。
麻生氏をふくむ25人のリストをのせた『日韓トンネルプロジェクト ネオ・シルクロードの起点から』も、世界日報社が出版している。
それを指摘しなかった名探偵コネン氏の、文の不鮮明さこそが印象的である。

*1:引用時、文字色変換を太字強調へ変え、太字強調による引用表示を引用枠に変えた。統一協会でなく「統一教会」と表記されているのは原文ママ