より正確にいえば、外交方針の国内支持率が高いことと、外交的な勝利を区別しようとしていないのではないか。
慰安婦問題再燃、「ワイドショー」が韓国批判一色に近く驚いた(世論調査も)。国内的に安倍政権が「勝ち過ぎ」なのが逆に気になる…… - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-
どこも韓国政府、文在寅政権への批判一色に近かったのね。とくに司会者が扇動、いや先導する感じで…とくにTBS。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180109/k10011282971000.html
韓国のムン・ジェイン大統領は、慰安婦問題をめぐる日韓合意について、「元慰安婦の意見を聞かず、前の政権が一方的に進めたもので誤りだった」などと述べました。これに納得できるか聞いたところ、「大いに納得できる」が1%、「ある程度納得できる」が8%、「あまり納得できない」が31%、「まったく納得できない」が51%でした。
文政権の主張そのものが大統領選挙の時の公約とは大幅にトーンダウンさせたものにとどまった、微温的なものになったこと自体が、外交的には日本が圧倒的な勝利を収めたことの証左だろう。
しかし国際社会において日韓合意そのものが高く評価されているかというと、くりかえし国連の委員会で対応の不充分さが指摘されている。
国連の拷問禁止委員会も、日韓合意の見直しを勧告 - 法華狼の日記
国連の自由権規約委員会が、従軍慰安婦問題における日本政府への評価をさげる - 法華狼の日記
しかもNHKの世論調査で「まったく納得できない」が過半数をしめた韓国大統領の発言は、国連の各委員会で示された見解にそったものだ。
ここで起きていることは、国外と国内の見解の乖離だ。極端にいえば、外交的敗北が内政的勝利によって外交的勝利にすりかわったのだ。
そのような乖離の究極として、日本の歴史から「我が代表堂々退場す」を思い出すことも難しくない。
もちろん現在の民主政治が主として各国内の選挙によって成立している以上、外交的勝利より内政的勝利を政権が選ぶ傾向はどうしてもある。
しかし日本軍の慰安所制度が実質的な奴隷制度であったという史実について、日韓合意の密約で隠蔽しようとする条件があったことも明らかとなった。
その史実は2015年5月に歴史学会による声明として示されていたが*1、日韓合意および以降の日本政府は根拠もなくそれに反している。
現在の日本政府は、あらかじめ学術的にも敗北している。
しかしgryphon氏が示すのは、日本の主要メディアと、なぜか小田嶋隆氏だけ。
そして植村隆氏や記念碑が攻撃されるという言論や表現の自由がおびやかされている現状を無視して、今後の漠然とした不安を語るだけ。
ただここからが本題だが……その大勝利自体がなんとなく不安なのだ。
ここまで勝ち過ぎたことはのちに禍根を招くのではないか、と思うのだ。
現時点での日本のありようをgryphon氏が「勝利」と記述するということは、gryphon氏は歴史学に反する思想をもっているということなのだろう。
そしてgryphon氏は、本心では言論や表現の自由を軽視しているのだろう。おそらく自覚はしていないだろうが。