法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

IWG報告書で従軍慰安婦問題を否認しようとする自民党議員の山田宏氏を見て、日韓合意の建前としての無力さを改めて痛感する

「最終的かつ不可逆的」な日韓合意において、「当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」*1と事実認定がされているのではなかったか。

念のため、IWG報告書そのものは、未調査の資料において特に新証拠が見つからなかったというだけの内容であって、これまでに発見された証拠が隠滅されたわけではない。
その上で、「最終的かつ不可逆的に解決」を従軍慰安婦問題の位置づけの固定とみなす論者は、たとえIWG報告書に何が書かれていようとも、山田氏にそれを論じる無意味さを説くべきだろう。
歴史学にもとづく追及を無効化するために日韓合意が持ちだされる。歴史学に反した日本の正当化に対しては日韓合意が持ちだされない。「責任を痛感している」はずの日本政府は何をしているのか。


ちなみに山田氏は日韓合意について、当初の2015年には河野談話と同列視して、「絶対にやってはいけないことをやってしまった」とツイートしていた。

しかし日韓合意で従軍慰安婦問題の追求から逃れられると考えるようになったためか、2017年には国連の勧告へ反発するツイートをするようになった。

2018年には「国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える」という目標を自ら破ろうとしながら*2、韓国が一方的に破っているかのようにツイートしていた。

これでは日韓合意で拠出した10億円が口止め料でしかないと語るに落ちているようなものだ。そうでないというならば、より建前として具体性のある河野談話の決意くらい、きちんと履行するべきだろう。
慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話

 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。