法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『007 慰めの報酬』

カーチェイスをくりひろげた秘密諜報員007は、「M」の手がかりとなる男ミスターホワイトを連行するが、裏切りによって失敗。
ボンドはさらなる「M」の手がかりを追って、陸海空で戦いつづけ、そのたびに敵味方の死骸が積みあがっていく……


『007』の22作目として、1時間46分の尺で、2008年に公開。ちょうどの時間があいたからと、この作品から見た自分自身の愚かさに嫌気がさした……
007 慰めの報酬 : 作品情報 - 映画.com
とにかく全編アクションなのだが、その前提となる争点がほとんど説明されない。基本的に1体1で戦うので、ドラマとしては一方が勝つまでの時間を引きのばしているにすぎず、物語の情報量が薄い。
ただし、これは作品が悪いということとは限らない。きっと本来なら、あまり考えずに陸海空でバラエティある現代的アクションを楽しめる、よくできたエンターテイメントなのだろう。


誰の何が悪いって、『007』シリーズは各作品ごとに完結しているという私の先入観。ある程度まで人間関係を知っていれば、どこから見ても楽しめるだろうと思いこんでいた。
しかしこの『慰めの報酬』は、シリーズで初めて前作から直接的に続いている作品という。時系列としても21作目の結末のすぐ後から始まっているという。
実は21作目のDVDも手元にあったのだが、2時間を超える尺だったので、もっと余裕がある日に見ようと後回しにしたのが大失敗……


あまりに説明が足りず、首をかしげながら見つづけるしかなかったのだが、やがて争点を観客が知っていることを前提とした会話が始まり。
「あ、まずい……」と思った瞬間に状況が変移。007が手がかりをつかみかけるたびに奪われて、落ちついて状況を解釈する情報も時間もない。
手がかりを求めて移動するたびに死者が増えるという007の疫病神ぶりを観察していると、何やら重要らしき人物と再会。私にとっては新登場。
前作の黒幕について語りあう姿に、「んん……これは致命的……」と泣きが入る。
「慰め」にあたる会話が終わったころ、私は黒幕の正体どころか、どのようなどんでん返しが前作で展開されたかまで、完全に把握していた……