法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キラキラ☆プリキュアアラモード』第32話 キラッと輝け6つの個性!キラキラルクリーマー!

古きプリキュアの遺した場所につどったキュアホイップたちは、ビブリーに襲われる。そして最後の力をふりしぼるビブリーとの戦いで、タイムスリップしてしまう……


香村純子脚本、貝澤幸雄コンテ、上野ケン作画監督という、力を入れたスタッフ陣容。
そして先代のプリキュアへ会いに行くだけの物語かと思いきや、ビブリーの過去まで描かれる。展開の早い導入から、1話分を見逃したかと錯覚してしまった。
てっきりビブリーは主人公たちと同世代だと思っていたので、同じ街の出身というところが意外だし、それを今回のような新アイテム登場回で明かすのも予想外だった。
ルミエルの変身前の服装や、いくつかの建物や製菓器具を見ると、タイムスリップしたのは戦後すぐか、それ以前らしい雰囲気がある。人々の気持ちが沈んでいる原因は明言されていないが、戦争によるものだとすると、ビブリーの孤独にも違った意味が見えてくる。
いまは洋風建築が多くて明るい街に見える苺坂だが、その歴史をふりかえる物語が描かれるなら、興味深い作品になるだろう。


しかし描くべきことが多すぎて、今回の主軸となったビブリーのドラマがあわただしい。
孤独から救ってくれたとしてノワールに心酔しつづけ、見捨てられかけても全力でプリキュアと戦おうとした少女が、たかだが過去の風景を見ただけで騙されたと認識するだろうか。それで直前まで戦っていたプリキュア全員へ助けを求めるだろうか。
ビブリーがプリキュアにかこまれて説得される情景も、自己啓発セミナーのような圧迫感があって、まったく優しさを感じない。プリキュアの言動が同調しすぎていて、個性を感じさせないことも良くない。プリキュア内で話しあって方針を決めたわけでもないのに、考えの違いが見えてこないカルト宗教ぶりが、ノワールとの違いを感じさせない。
まず時間移動したことを否定し、過去の風景が事実であることを否認し、それでも次々に記憶が呼びおこされ、わきおこる疑問をごまかせなくなり、以前に共感したことのあるキュアパルフェ*1にだけ弱音をもらす……といった手順をふんでほしい。さすがに尺が足りないだろうから、今回は新アイテムを最後に入手するだけにして、初使用は次回にまわすことになるだろうが。