発掘された謎の兵器を整備場で起動しようとする鉄華団。それは人型兵器モビルスーツとも小型兵器モビルワーカーとも異なっていた。
その謎の兵器について、マクギリスから情報がもたらされる。それは300年前の厄祭戦で使われた兵器モビルアーマーの一部という。
そして採掘場から見つかった巨大な物体こそ、モビルアーマーの本体だというが……
コンテは亀井治と、初参加の赤根和樹が連名。クレジット順が順だとすると、後半の空間を大きく切りとった発掘場の戦闘は赤根コンテということになる。この作品には珍しく戦場に乾いた感じがあったのは赤根監督の力かな。
マクギリスと鉄華団を煙たがるギャラルホルンとテイワズそれぞれの一派が、敵の敵は味方という発想で手を組む流れは悪くないし、さまざまな場所での出来事がモビルアーマーが起動する衝撃へと収束していく物語構成もよくできている。
兵器として考証しようとするとどうしても不合理になりがちな人型兵器を、別兵器の天敵として位置づける設定も感心した。モビルアーマーが無人兵器という設定から想像するに、人型をしていれば人間とかんちがいして人工知能が攻撃を一瞬ためらう、いわば“倫理迷彩”とでも呼ぶべき目的でモビルスーツが誕生したのだろうか*1。
ただ、だとしても三世紀前の遺物として今ごろになって処理するより、モビルスーツが誕生する物語として見たかった気分はある。『機動戦士ガンダム00』『機動戦士ガンダムAGE』につづいて旧時代の兵器がオーバーテクノロジーとして現代兵器に優越する設定を見せられると、長期間にわたって情報の流出や技術の再発見がなかった不合理さが気にかかってくるし、ブラックボックスとして歴史を利用する安易さへのためらいが欲しくなる。十年以上前の『∀ガンダム』のように、文明の後退を最初から根幹に配置する作品があったことを思うと、もっと新しい工夫が見たいものだ。