法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』パンドラのおばけ/あらかじめアンテナ

EDが映画の応援隊「南極カチコチ隊」によるパオパオダンスに変更。織田信成浅田舞フィギュアスケーターふたりが踊るわけだが、アイスダンスとは勝手が違うのか、前年のような無駄なキレキレ感はなかったかな。


「パンドラのおばけ」は、のび太の決心をつづけさせようと、開けるとオバケが出る箱で精神をきたえさせようとする。しかし開けさせようとする圧力が次々に起こり……
清水東脚本。あの手この手で開けさせる展開を増やすように、アニメオリジナル展開でしずちゃんの家へ行く。しかし、しずちゃんが切手を受け取りにきたのは原作通りであり、学校の成績が問題視される導入も原作通り。ママが𠮟責する導入を結末で受けるという、原作の端正な構成を崩さず、ていねいに分岐するようアレンジしていた。ジャイアンスネ夫が箱を開けるようにしむける場面も、アレンジの範囲内として違和感ない*1
ハロウィン描写で季節のディテールを強化しているところも良かった。タイトルバックを変更したり、街に出るアニメオリジナル展開でかそう仮装した子供たちに出会ったり。カブトムシも原作通りに登場させて季節外れになりそうなところ、時季外れの珍しいものとして箱を開ける動機を強化した*2
コンテ演出として大野和寿が初参加。普段の雰囲気から極端な逸脱もせず、きれいに画面をまとめていた。

おそ松さん』で仕事をしたつながりか、原画に上妻晋作の名前も。今年6月ごろのツイートを見ると味わいぶかい……

ドラえもんに関してだけは、私が書いたへのへのもへじが勝っている……と思う。絵の巧さではなく、記憶力の勝負だが。
へのへのもへじでできたらいいな - 法華狼の日記


「あらかじめアンテナ」は、何かが起きることを予測して準備させる秘密道具が登場。しかし何が起きるかや、準備がどのように役立つのかは、誰にもわからない……
与口奈津江脚本だが、前半と同じく、しずちゃんの家へ行くアニメオリジナル展開を入れている。それが単純にトラブルを配置して準備させるのではないことに感心した。ジャイアンを追いはらうためのアイドルのチラシが、帰り道でアイドルと出会う展開の伏線とは思わなかった。準備したものを充分に使わない、のび太らしい抜けた態度も悪くない。
あと、原作では噛んだガムだった耳栓が、玩具銃のコルク弾へ改変。おそらく子供が真似しないようにとの配慮だろうが、原作に登場する小道具で代替したので違和感がない。噛んだガムが原作とは異なる場面で使われるアレンジもうまいが、ガムの値段を考えると、拾うのは五百円玉くらいが良かったかな。

*1:ここで想像するオバケの姿が、ちょっと『ベルセルク』の髑髏の騎士に似ている。

*2:そもそも原作は5月ごろ発売の雑誌が初出なので、むしろ今回のアニメ化より無理が大きかった。