評論家の宇野常寛氏がインターネットで「平成天皇」という単語を使ったということで炎上したらしく、まとめブログで注目されている。
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必要に応じて区別できれば好きに呼べばいいと思うが、他人の呼称を不敬と主張しながら二重敬語を使おうとする人はどうなんだろうとも思う*1。
それはそれとして、国会議事録検索で「平成天皇」を検索してみたところ、5件が引っかかった。
まず1990年、社会党の上田卓三氏。
衆議院会議録情報 第118回国会 大蔵委員会 第11号
昭和天皇のときは二十グラム、それから新天皇、平成天皇のときは三十グラム、どうも前に買ったやつはえらい損したなというような考え方を持つ人間もおるし、記念金貨だから決して云々ということもありますけれども、今度の天皇さんの方が偉いのかなというような感じもする人もあるし、前の天皇さんは軽んじられているのかなというようなこともあるのじゃないかと思うので、同じ十万円金貨でありながらそれだけ違うということについて、偽造防止とかいろいろな意味もあろうかと思いますけれども、その点についてどうもしっくりしないわけです。
同年、連合の会だった星川保松氏。
参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第3号
ところが、今の平成天皇は神から天皇の地位を授かったわけじゃないんですから、あくまでも新憲法によって天皇につかれたわけでして、あくまでも国民の統合の象徴なわけです。
1993年、社会党の竹内猛氏。
衆議院会議録情報 第126回国会 予算委員会 第24号
ここの数年、昭和天皇の御逝去に伴う恩赦があり、あるいは平成天皇の御即位に伴う恩赦があり、またここで、今政治改革をやり、選挙違反にひっかかった者が約四千名ぐらいいると聞いていますけれども、そういう者を恩赦の対象にするということは、それは今の議論と逆行するということで、私は余り好ましいことじゃないと思う。
2000年、自民党の平沢勝栄氏。
衆議院会議録情報 第150回国会 憲法調査会 第6号
昭和天皇のあり方と今の平成天皇のあり方、大きな違いがあると思うのですけれども、一言で言うと、ヨーロッパ型の王室を目指すか、それとはまた別な形を目指すかということにつながってくるだろうと思うのです。
2004年、公明党の赤松正雄氏。
衆議院会議録情報 第162回国会 憲法調査会 第1号
例えば、一九九九年ですから、今の平成天皇が即位をされて十年たった時点で非常に印象に残る記者会見をなさっております。
民主党と共産党の発言としては引っかからなかった。
しかし数は少ないが、まんべんなく各政党の議員が口にしているといえるだろう。
そもそも、どれも「平成天皇」という言葉そのものが問題視されたようには議事録からはうかがえない。
ちなみに平成が始まった1989年1月7日から現在まで、「天皇」という発言は1844件、「今上」という発言は867件*2、うち「今上天皇」という言葉は29件となっている。