法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

毎月勤労統計に一喜一憂しない安倍晋三氏の答弁ビフォーアフター

不正が明らかにされている毎月勤労統計が、当時の安倍氏の発言にそって変化していたという立憲民主党小川淳也氏に対して、下記のように安倍氏が答弁したという。
毎勤統計で一喜一憂してない、実態は総雇用者所得みるべき=安倍首相 | ロイター

「いちいち毎勤統計について報告を受けてない。基本的に毎勤統計について一喜一憂する考えはない」とし、経済実態を示しているかどうかは「総雇用者所得でみるべきとの議論をいつもしていた」と語った。

さて、ロイターが報じている上記の発言について簡単に調べたところ、あっさり2014年の参議院議事録が見つかった。
参議院会議録情報 第186回国会 予算委員会 第13号

野田国義君 二月十七日の衆議院予算委員会で、安倍総理は我が党の山井委員の質問に対して、平均賃金が名目で若干のプラスにとどまると答弁をされました。しかし、厚生省からの翌日発表された確定値ではマイナスであった。給与は三年連続して減少しているという事実であります。
 生活実感に最も近いのは、実質の値ではなくて名目の値であります。いわゆる現金の給与額が、名目の賃金が三年連続して減少しているということでありますけれども、これはどういうことでしょうか、御説明をお願いしたいと思います。

現在は立憲民主党野田国義氏が、確定値の低下を指摘。対する安倍氏は速報値が上がったという過去答弁の根拠の正しさだけを主張し、確定値が下がりつづけている問題には答えなかった。

内閣総理大臣安倍晋三君) よろしいでしょうか。よろしいでしょうか。
 二月十七日の予算委員会で私が勤労者一人当たりの平均賃金が名目で若干のプラスと申し上げたのは、平成二十五年後半、七月から、十八日のことであります。それは前後の関係から見れば明らかなことでありますが、具体的には、二月五日に公表されました毎月勤労統計調査の速報値に基づきまして、一般労働者一人当たりの賃金は、昨年後半はプラス〇・八%、パート労働者の時給についても昨年後半はプラス〇・七%であります。他方、相対的に賃金の低いパート労働者の割合が上昇しているため、勤労者一人当たりの平均賃金は若干のプラスにとどまっているとお答えしたものでありまして、これはその後の二月十八日に公表された速報値においても傾向は同じでありまして、私の答弁は、首を振っておられますが、これはまさに事実ですよ。この事実が違うんですか。(発言する者あり)事実ですよ、これは。何が違うのか言ってもらいたいと思いますよ。

答弁の内容を見てのとおり、そもそもの2014年2月17日における安倍氏の答弁が、毎月勤労統計調査にもとづいていた。確定値を待たずに数字が良かった速報値を根拠にしたあたり、一憂はしなくても一喜はしていたわけだ。
そして実際の数字がどうかという野田氏の批判に対しては、速報が出たことは事実だからと過去の自説の正しさを主張するのみ。その自説が自政権の正しさを裏づける根拠になっているか否かには答えなかった。