法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『少女は異世界で戦った』

原爆の惨禍に人類が反省し、銃器や兵器が消え去ったパラレルワールドの日本。しかし2024年、銃をもった侵略者があらわれる。
侵略者を倒すため活躍する4人の少女たちだが、やがて侵略者の真実と、もうひとつの世界の存在を知っていく……


金子修介監督が原案も担当した2014年のオリジナルSF映画
映画「少女は異世界で戦ったーDANGER DOLLSー」公式サイト
GyaO!で7月10日まで無料配信していたので視聴してみた。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00908/v13612/
印象として、かなりの低予算作品。シネマスコープサイズを使いきった構図の良さなどは光るが、特撮らしいのは安っぽいデジタル合成ばかりで、格闘戦でもワイヤーアクションを使いきったりはしない。
もちろん大規模なセットなども作られず、基本的にひとけのない山林や郊外のロケですまされている。移動をつづける少女たちが温泉に泊まるという、昭和のタイアップ感あふれる場面もある。
壮大な内容を低予算なりにまとめているし、極端にダメな場面はないので、それなりに楽しんで見終えることはできたのだが……


制作背景を想像するに、低予算Vシネマでセクシーアクションをつくるリソースしか与えられず、それでも金子修介監督の個人的な技量とコネクションだけで、なんとか映画として成立させることができた……といったところか。
たぶん同じ脚本や演出をアニメで制作すれば、ずっと見られる作品になったと思う。実写ならではの良さといえば、少女たちの体をはったアクションと、冒頭の歴史パロディくらいだ*1
実際、原子力を持たない並行世界や、サブカルチャーで社会と立ちむかうといえば、ちょうど先日に最終回をむかえた『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』とそっくり。チープで古臭いSF設定をもちいて、現代社会をシリアスに描こうとする語り口ともども、見ながらずっと連想していた。

*1:パラレルワールドで最高の知性としてブッシュ大統領軍縮を決定づけたというギャグは、ここ最近の映画で最も笑えた場面ではあった。