法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』恐竜ツアーに行こう!/いねむりシール

アニメオリジナルの前半と、原作のある後半と。
異変に気づいて収拾に走りまわる人物と、何も気づかず利益だけをえる人物を対比する展開が同じ。脚本家が違うので偶然だとは思うが。


「恐竜ツアーに行こう!」は、ドラえもんがツアーの懸賞に当選したことで、家ごと白亜紀にタイムスリップする。
ストーリーは原作でも見かけるようなパターンだが、懸賞の紙吹雪で部屋が埋まったり、ブロック塀越しに恐竜の姿が見えたり、ビジュアルはけっこう楽しい。ツアーのために来たロボットの、シンプルなデザインと無責任な態度も藤子F作品らしい。
新鮮な面白味こそなかったものの、ほとんど違和感なく楽しむことができた。ただし、のび太たちが家の外へ出ていく展開は、もっと自然に見せてほしい。バリヤーを解除させて騒動をひきおこしたい作者の意図が透けて見えた。


「いねむりシール」は、意識が眠ったまま活動できる秘密道具で、のび太が休みながら他人のために動こうとする。
のび太が軽い気持ちでひきうけて、それを助けるドラえもんがひどいめにあうパターン。原作では途中で助けることをやめるが、今回のアニメでは最後まで尻ぬぐいすることで、穴に落ちるという同じオチでも味わいがまったく違う。こういうドラえもんはかわいいし、共感もできる。
作画もなかなか良好。目ざめるドラえもんの残像をしっかり見せていて、のび太が暴力を無意識に回避する姿も説得的に描けていた。