法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

マンガ『いちえふ 〜福島第一原子力発電所労働記〜』の作者は、警報音を切っていたのか鳴らしていたのか

福島原発における現場作業体験をルポ漫画化した竜田一人氏が、下記のようにツイートをしていた。

「普通に人が住んでる地域」において「終わりなき戦い」がつづけられていることは矛盾ではないが、個人の感想としては理解できなくもない。事実がどうであれ、それを描写として採用したことがドキュメンタリの演出の一環であることも間違いない。
いずれにせよ、これを読んだだけなら、なるほど原子力発電所の現場においては線量計の音を切って仕事しているのかと、一種の体験談として興味深く思えたかもしれない。
現場で音を切っていることを裏づけるような第三者のツイートもあった。


しかし、竜田一人氏は以前に毎日新聞インタビューで下記のように答えていた。
キーパーソンインタビュー:「記録を意識」 漫画「いちえふ」作者・竜田一人さんに再び聞く - 毎日新聞

建屋内の作業でヒュヒューイとAPDの警報音が鳴り響くのはあまり気持ちがよいものではありません。「このくらいの被ばくなら影響はでない」と頭で分かっていても、やっぱり嫌な音ではあります。一方で、矛盾するようですが、これだけ鳴るような高線量の場所で働いているという自負も出てきました。

はたして竜田一人氏は音を切っていたのか、鳴らしたままだったのだろうか。
あるいは同じ原発の仕事においても、高線量の場所では鳴らしていて、低線量の場所では音を切っていたということだろうか。それを判断する基準は誰が決めたのだろうか。
そもそも、先に引用したツイート群の発端として下記のようにツイートしていたことと、インタビューでの自身の発言が整合しない。

竜田一人氏もインタビューで「事実」を隠すという演出をおこなったのだろうか。それとも約1年たって判断を変えたのだろうか。


ちなみに2012年、原発の作業においてAPDを鉛カバーで覆う偽装が発覚したのだが、その偽装のきっかけが警報音だったという。この役員は警報音を切ることを思いつかなかったのだろうか。
朝日新聞デジタル:鉛板、原発構内に投棄させる 役員が指示 被曝隠し問題 - 東日本大震災

ビルド社の役員が21日、和田孝社長に説明したところによると、役員は昨年11月、工事現場である原発1号機西側の高台を下見した際に、高い線量を感知してAPDの警報音が鳴ったのに驚き、実際の工事では鉛カバーでAPDを覆うことを決意。作業員9人が約3時間、鉛カバーを着けて資材を運ぶなどの作業をしたとしている。

また、2013年、東京電力の社員が全身防護での作業時に、線量計を見ながら仕事をするために不適切な使用をしていたこともあった。
福島第1原発・3号機作業員が線量計を誤使用(福島民友ニュース)

 東電は、作業着が全身を覆うタイプのため部位による被ばく線量の差はなかったとしている。社員らは線量を見ながら作業する必要があったため手に持っていたと話しているという。
 作業で予定していた被ばく線量を超える恐れを知らせる警報が鳴ったことを受けて社員らを確認したことで判明した。

線量計の針を見ながら、きちんと作業ができるのか。警報音を切って作業することは、慢心につながらないのか。そんな疑問を竜田一人氏のツイートから感じるのだが……