辺野古抗議活動で韓国人が逮捕された件について

沖縄タイムスが報じているように、拘束されたまま予定日に帰国できなかったという。
辺野古で逮捕の韓国人送検 帰国予定も釈放されず | 沖縄タイムス＋プラス ニュース | 沖縄タイムス＋プラス

　ゲート前や名護署前では２３日、市民が男性の早期釈放を求め抗議。男性は同日午後に韓国に帰国予定だったが釈放が間に合わず、市民からは「なぜこんなに長引いているのか。嫌がらせだ」と反発の声が上がった。

逮捕された状況についてだが、共同通信の配信記事によると、そもそも抗議活動に参加していたかどうかも微妙なところらしい。
http://www.47news.jp/CN/201509/CN2015092201001177.html

　接見した弁護士や現場にいた移設反対派などによると、キム容疑者は妻と一緒に抗議行動の様子を見ていたという。反対派と警察官が衝突する中、近くにいた妊娠中の妻が警察官に強制排除されそうになり、キム容疑者が阻止しようとして警察官ともみ合いになった。

　キム容疑者は、国内外で活動する環境保護団体に所属している。

さて、はてなブックマークやツイッターで陰謀論が散見されるが*1、すでに指摘されているように韓国人夫妻がそこにいたことに何の不思議もない。
はてなブックマーク - 辺野古反対の韓国人逮捕 沖縄、警察官蹴った疑い - 47NEWS（よんななニュース）

id:scopedog 環境保護団体に所属しているなら反基地運動してても別に不思議じゃないんだけど、国籍云々であーだこーだ言ってる連中は今後一切中国とかの民族問題・人権問題に口出す資格無いね。

id:Ereni 元々済州島海軍基地反対と辺野古移設反対派に連携があるので,キム・ドンウォン氏がいるのはおかしくないhttp://bit.ly/1NR7UGQこの記事,済州島虐殺の第一の主体が米軍,半島分断は日本植民地支配のせい等妙な記述があるが。(

そもそも韓国と日本は、ともに国内に米軍基地をかかえる共通点があり、負担をしいられる地域の反発も同じようにある。
たとえば、米軍基地の汚染と韓国政府への不信を題材にした怪獣映画『グエムル −漢江の怪物−』は、日本でも知られているだろう。

グエムル-漢江の怪物-(スマイルBEST) [DVD]

最近の韓国メディアにおいても、米軍の高高度防衛ミサイル導入において、韓国の前例として日本の反発が参照されていた。
［記者手帳］どこにTHAADを配備しようというのか : 社説・コラム : hankyoreh japan

THAADの敷地の前方5.5キロメートルの空と地上をすべて空けなければならないならば、該当地域の住民たちが黙っているだろうか。建築高度制限と開発制限、住居価格の下落など、各種の財産上の被害、電磁波人体有害論議で深刻な問題が起きるだろう。 昨年AN/TPY-2レーダーが設置された日本の京都府丹後では、住民たちが電磁波被害とレーダー運用のための発電機から発生した騒音被害などを訴えている。

そして政府の立場でいえば、もちろん日本と韓国は同じ陣営に属している。集団的自衛権が発動される時も、日本は韓国を守る形式で戦う可能性が高いだろう。
［書評］韓国は果たして自衛隊の朝鮮半島派兵に反対するのか : 社説・コラム : hankyoreh japan

　安倍晋三日本首相が参議院予算委員会(８月24日)で(安保法案が通過すれば)法律上集団自衛権の発動対象に韓国も含まれるとした上で、それでも「武力行使の新３要件」に該当しなければ韓国に自衛隊を派兵することはできない」と述べた。言い替えれば、新３要件に該当する事態が発生すれば派兵できるという話だ。

つまり沖縄の基地反対運動に韓国政府の意向を見いだすことは、陰謀論としても稚拙なのだ。むしろ沖縄の市民に対して韓国の市民から共感が出てこなければ、それこそ不思議といえるだろう。

これで逮捕されたのが中国人であれば、まだしも中国政府の陰謀論をとなえても理屈だけはとおる。
しかし中国にしても軍基地の負担が問題になっていないわけがなく、マイノリティへの負担という観点からチベットやウイグルとの連帯も充分に考えられる。
たとえば私ですら、中国の少数民族支援運動にささいな心付けをすることがある。だからといって日本政府の意向で私が動いていると思う人がいるだろうか？

*1:id:fj93ri239氏の「韓国人個人が何かやっても全体を云々するつもりはない。しかし「韓国政府」の関与を考慮する必要はあるだろう。軍事侵略を行っていない日本政府を監視するのと同程度には、竹島を侵略した韓国政府を監視すべきだ。」や、id:Josequervo氏の「まともな左派はこういった反対運動に関わっている外国人とそれを擁護してるお仲間を切らない限りこれからもずっと色眼鏡で見られ続けるよ。右派からだけじゃなくね。」等。