法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』七時に何かがおこる/びっくり箱ステッキ/ぼくよりダメなやつがきた

今週も3本立てで、すべて原作あり。


「七時に何かがおこる」は、おみくじ型の秘密道具「みちび機」を使って、0点のテストをママに怒られないよう切りぬける。
秘密道具にしたがって最後まで成功するという、かなり珍しいエピソード。個人的には後味が良くて好きだった。不合理な指示が意外な効果をあげる面白味だけなら、他にもエピソードがある。しかし、さすがに教訓か皮肉をどこかで描いているもの。
あえて今回から教訓や皮肉を読むとすると、しょせん人間は他人を頭ごなしに批判できるほど偉くないし、しかし自身の問題は過去のこととして忘れがち、といったところか。


「びっくり箱ステッキ」は、そのステッキで叩いた物がビックリ箱になるという秘密道具で、シンプルに騒動が起きる。
いまどき小学生でもビックリ箱に驚けるのは、のび太くらいしかいない。そういう原作の子供観が面白いくらいかな。原作が短いのでビックリ箱の場面を増やしてはいたが、劇中でも古臭いオモチャあつかいなので、見ていてバラエティを感じない。
かなり前から地上波デジタルでおこなっているゲーム「びっくりラッキーマンボ」の元ネタということは、すっかり忘れていた。


「ぼくよりダメなやつがきた」は、のび太より肉体や成績で劣る転校生がやってきて、のび太が珍しく優越感にひたる。
感動的かつプロットに無駄がなく、アレンジすることが難しいエピソード。リニューアル後の2008年に岡部優子脚本でアニメ化した時は、あまった尺を転校生を救いにいく場面に使って、うまくクライマックスの情感をもりあげていた*1
今回の脚本は水野宗徳だが、描写の足し引きがなく、原作の良さがそのまま映像化されつつもオリジナルの良さがない。いっしょに宿題をする場面で、のび太の飽きっぽさを強調していたくらいかな。