法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

従軍慰安婦が学術的には奴隷とみなされることについて、日本中世史の専門家がよくわからない反応をしていた。

「「慰安婦」問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明」が出たこと - 法華狼の日記に対して、著名人や歴史家にも、いくつか理解できない反応がみられる。
一例として、日本中世史が専門の呉座勇一氏*1が下記のようにツイートしている理由がよくわからない。

あまり私個人もつかわないが、そう表現しなければならない状況はある。「支持する声明」*2でつかわれなかっただけで意見が後退したかのように報道されたばかりだ*3
もちろん呉座氏は専門家として倭寇奴隷貿易なども知っているのだから*4、人身売買された従軍慰安婦が「奴隷」にふくまれることは否定できないはず。
さらに呉座氏は、いくつか非公開ツイートを「鍵RT」として否定せず転載しているが、さらに首をかしげるものが多い*5

最初に「強制連行」や「性奴隷」といった学術的な見解に反発するのであれば、それがクリアされることはないだろうから、「右派」が反発をやめる時はこないだろう。
それに「強制連行」と「性奴隷」が同一であるかのような表現は、何か誤解しているように思える。16団体声明*6でも別々に論じているとおり、動員時の問題と動員後の問題は、一方が他方の必要条件ではない。
また中国や韓国以外でも、インドネシアにおける犠牲者数や支援活動を否定する動きが昔からある*7。2007年に「歴史事実委員会」が出した意見広告「THE FACTS」では、売春を強いられたことから否定していた*8。そうした動きは「右派」にはふくまれないのだろうか。

「左派」であることをやめるためには、どうやら一年たっていないことも忘れなければならないらしい。次世代の党の批判を受けて、アジア女性基金にまつわる文章が外務省サイトから消されたのは、現政権で起きたことだ*9。わけて考えるべきというなら、善意が多少なりともあったアジア女性基金と、現在の日本政府こそ距離がある。
何より「支持する声明」では、はっきり「大胆に行動することを首相に期待」している*10。「何もしなくて良い」とは現実が見えてなさすぎる。