法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ジャイアンが飛んできた/わすれろ草

前半はアニメオリジナル、後半は初期原作のアニメ化。映画宣伝が終わり、ひさしぶりにOPも復活。
最後のGW特別企画は、行楽に向いた秘密道具を紹介するだけで、あまり力は入っていない。


ジャイアンが飛んできた」は、あらゆるものを届けることができる秘密道具「配達ラケット」が登場。最初は手伝いをしたり、配達の手助けをおこなう。
やがてジャイアンから隠れて物を送ろうとしはじめ、そのままジャイアンから逃れるだけで終わるかと思えば、ジャイアンリサイタルのチケットを押しつけあうという新展開。秘密道具の活用として応用がきいているし、ビジュアルもギャグとしてよくできている。しずちゃんのひどい行動も、けっこう原作らしさが出ている。
最初は問題から逃れるための技術が、問題を押しつけあう技術として用いられる。そうした子供の姿をとおして、社会を風刺するような物語でもあった。
コンテ演出は楠葉宏三総監督。映画で登板すると凡庸で、作画リソースを使いこなせない感が強いが、やはりTV本編で登板すると手がたく上手い。


「わすれろ草」は、短期間の記憶を消せる秘密道具を使って、ジャイアンスネ夫から逃れようとするエピソード。
こちらも秘密道具の機能を活用しきった展開がうまい。誰を殴ろうとしているかを忘れ、殴ろうとする相手の名前を思い出してもそれが誰なのかを忘れる。細かく記憶がゆらぎつづける人々のカオスな行動が、原作通りとはいえ素晴らしい。
アニメオリジナル部分は、途中のイタズラを増やしているまでは普通だが、結末の舞台を公園にしたアレンジはうまい。その瞬間を直接に描写することをさけて、噴水で映像として比喩していた。