法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』くせなおしガス/熱血!ドッジボール

今回は『アメトーーク!』の宣伝で、ラッキーマンボに雨上がり決死隊が実写で登場。
本編は、ひさしぶりに前半と後半で尺の配分を変えている。


「くせなおしガス」は、自覚のない癖をなおすため、吹きかけると癖をおおげさにする秘密道具が登場。来客を前にして、パパとママが異常な癖を披露する……
せっかく尺を7分ほどに短くしているのに、アニメオリジナルでジャイアンたちも登場。そのため、巨大ハナクソを捨てるために玄関で客と鉢合わせする原作と違って、巨大ハナクソを持って長々と街を走り回って空き地に行きつく。ギャグにしても無理ありすぎだ。
オリジナルの癖描写にしても、指の骨を鳴らすジャイアンは悪くないが、その騒音を聞くと空中に浮かぶ演出が謎。スネ夫しずちゃんの癖にいたっては、前髪をはらうのと髪を指にからめるのとで、ネタがかぶっていてオチにするにはつまらない。しずちゃんなら風呂にまつわる癖にすべきだろう。
作画も全体として癖が強くて、あまり魅力的とはいえなかった。ところどころコンテはおもしろかったのだが。


「熱血!ドッジボール」は、町内対抗ドッジボール大会を前にしてジャイアンが足を捻挫。補欠だったのび太を登板させるために秘密道具で特訓する……
アニメオリジナルで長めのストーリー。原作にいる寺野というライバルではなく、アニメオリジナルの大熊というライバルと戦う。男女混合チームなところが目新しい。
思いつきのように秘密道具を次々に出していくが、最終的に本戦では使わないし、伏線として反映されるわけでもない。いうならば、大リーグボール養成ギブスのような古典的スポ根特訓ガジェットを、秘密道具で代替したようなもの。
そして意外と個性を活用した真面目なドッジボールアニメと化していく。ライバルとジャイアンの必殺技も、ドラえもんが体型を利用して顔面セーフを武器にするのも、コロコロコミックのスポーツ漫画くらいのリアリティは踏み外さない。リアリティを増しつづけるスポーツアニメの潮流にさからうような、古典的な面白味があった。
作画も前半と同じく癖が強かったが、作画枚数を使って1カットで無数のボールをよけたり、試合でカメラワークをつけたり*1、荒っぽくも楽しい映像を見ることができた。井出安軌コンテの無茶な要求によくアニメーターがこたえたものだ。

*1:背景動画とは少し違うが、黒バックに複数のキャラクターを配置して視点を変えるという、TVアニメとしてはかなり手間をかけたもの。