法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ロケットそうじゅうくんれん機/ジャイアンへのホットなレター

今回は前後とも安定した中期原作から素直にアニメ化。


「ロケットそうじゅうくんれん機」は、のび太に宇宙冒険の厳しさをわからせるため、現実の風景が宇宙におきかわるシミュレーション装置をドラえもんが出してやる。さっそくスリル満点の冒険を始めたが……
ごっこ遊び系の秘密道具。原作からして展開にひねりはないが、平凡な日常風景が怪獣の登場する異星にデフォルメされる楽しさと、小型宇宙船が受けたショックがシミュレーションに反映される緊張感だけで、なかなか見ていて楽しめる。
大きくアレンジされているのは、スネ夫につかまるシチュエーションが長いこと。バケツから脱出して終わりだった原作と違って、家まで連れていかれてスネ夫スネ夫ママから逃げまどう。骨川屋敷の広さによる脱出困難な状況で、頭を使って逃げるサスペンス性が存分にあって、ただ描写を増やしただけの単調さではないことが素晴らしい。
さまざまな場所を移動していく映像も、手描きの背景動画から3DCGまで活用して、探検している説得力があった。絵コンテは初参加の川越淳。まさかダイナミックプロ作品やレトロSF漫画を現代に通用するアクションアニメとして何度も再構築してきた監督が来るとは思わなかったし、どのようなコネクションで登板したのかもつかめない。


ジャイアンへのホットなレター」は、他のアイドルと比べてファンクラブ活動が停滞していることをジャイアンがうれえて、のび太に活動のもりあげを命じる。そこで素晴らしいファンレターを集めることに……
前日譚にあたるファンクラブ結成エピソード「フィーバー!!ジャイアンF・C」は、2006年にアニメ化ずみ。まさか後日談のアニメ化が10年後になるとは、当時は思いもよらなかった。とはいえ結成時の細かい出来事が関係する物語ではないので*1、くわしい過去の説明はせず、忘れているくらい昔の出来事として原作通りに処理。
今回の物語が面白いのが、さまざまな設定が定着していることを前提にしていること。ファンクラブがそうだし、ドラえもんがぼやくくらいにジャイアンが秘密道具を知っているのもそう。迷わず適切な秘密道具を出すよう指示して、さまざまな障害をあっさりクリアーしていくというギャグが恐ろしくも笑える。
アニメオリジナル要素はパネルに音声機能がついているところくらいだが、単純なアレンジながらアニメという媒体をいかした演出で、オチを効果的にダメ押ししていた。


ちなみに、公式サイトの各話あらすじページに、今回からエピソードにかかわるクイズが書かれるようになった。
2016年11月25日(金曜日)「ロケットそうじゅうくんれん機」「ジャイアンへのホットなレター」|ドラえもん|テレビ朝日

*1:実は秘密道具の効果でファンクラブが暴走し、ジャイアンが解散するようたのむのが前日譚のオチだった。