法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『岩井俊二のMOVIEラボ』#3 ラブストーリー編

今回は個人的な興味関心から外れているかなと思いきや、MCの岩井監督が語る恋愛映画が初代ガンダム三部作という。
http://www4.nhk.or.jp/movielab/x/2015-01-22/31/19620/

ガンダムは恋愛物?障壁こそ、愛を盛り上げる?など、名作を例にとって恋愛表現の神髄に迫る。

その観点も、ほとんど会っていなかったのに、アムロララァが戦場で交感をかわしたという、びっくりするほどシンプルなもの。子供時代に衝撃を受けた作品だといっても、幼馴染のフラウがハヤトとつきあっていく展開とか、もっと作品の個性として語れる要素が多そうなのに。
実際に恋愛を描いた作品を監督もしているのに、マニアックさがまったくない岩井監督の映画観は、逆に凄いのかもしれない。


1分スマホ映画*1は、最後に視聴者から投稿された特撮作品『円盤繭女』が、あらゆる意味で完成度が高くて驚かされた。映像作家の卵たちが作った2本も悪くはなかったのだが、完全にもっていかれた。空中に静止したUFOを、奥行きあるカメラワークで合成できているだけでも凄いのに、その正体を明かす場面にいたっては合成精度も重量感も構図も完璧。下手な邦画特撮よりよくできていたが、ひょっとすると本職が応募したのか。
人間を鶏に見立てて、三歩あるいても忘れないよう大切な人を思っていたはずなのに……という作品『コックテール』は、冒頭のインタビューから連続するシュールさが素晴らしかったが、素材不足や説明不足の結果でもあるという。講評で指摘されるとおり、きちんと鶏のキグルミを用意していればオチはわかりやすかったろうが、シュールさは失われたろう。たとえば途中で食べる鶏肉を、はっきり見えやすいよう骨付きモモ肉にするとかすればどうだったろうか。
遠距離恋愛の男女をドキュメンタリーとして描く作品『次会うのはいつ?』は、フィクションかノンフィクションかあやふやなところから、徐々にリアリティをあげていく構成が良い。これも結果的な良さだったらしいが。個人的には制作者が当初に構想していたという、恋人が不在な状況を描きつづけるパターンも見たかったかな。

*1:投稿を受けつけるページに、SF編と特撮編で紹介された2作品が公開されている。http://www.nhk.or.jp/program/movielab/theme.html