法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』石器時代の王さまに/鯉のぼりをつかまえろ!

今回は前後ともに原作あり。それぞれ足りない尺をオリジナル要素でふくらませている。脚本は水野宗徳で、絵コンテは善聡一郎監督。
20分近くを前半にさき、残り5分で短編をアニメ化するという、ひさしぶりに面白い時間配分をしていた。


石器時代の王さまに」は、のび太石器時代にタイムスリップして文明の機器の力で王になろうとしたところ、うまく道具が使えずに完全にあてが外れてしまう。『アーサー王宮廷のヤンキー』にはじまる文明批評型ストーリーを、原始人にとっては文明人が愚かに見えるという形で相対化した、皮肉な作品だった。
今回のアニメ化では前半まで忠実だが、あっさりマンモスを倒して終わらず、いったん退散させて原始人と現代人の交流ドラマを描く。マンモスが暴れていた理由はベタだが、谷間の戦いでアクションシーンもそこそこ楽しめて、娯楽作品としてよくまとまっていた。交流できたと見せかけて感動を台無しにするオチも、原作テーマを強調していて良い。
ただ文明の機器として持っていったのが古いラジオだったりマッチだったりと、子供の視聴者にはそれこそジェネレーションギャップを感じそうな内容だったのは、現代にあわせてアレンジしても良かったかも。


「鯉のぼりをつかまえろ!」は、鯉のぼりに意思を持たせる秘密道具が登場。風がなくてもきちんと泳がせようとしたところ、スネ夫の家から逃げ出してしまう。
超短編ゆえにテンポが良いくらいかと思ったら、異様に作画が良く、EDクレジットを見ると演出が今井一暁で小野慎哉が作画監督。さらに原画で亀田祥倫が参加しており、おそらく雲上のダイナミックな作画を担当したのだろう。思えばアニメミライ2014の『パロルのみらい島』スタッフか。
アニメミライ[ animemirai ]