法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

歴史にまつわる与太話の出典について、図書館に質問すると詳細に調べてもらえることがあるようだ

たとえば、天皇の玄孫を自称する竹田恒泰氏が、その著作に記した与太話について、出典が見つからなかったという結果と、与太話の元ネタと思われる国内の著作を調べあげたりしている。
竹田恒泰著『現代語古事記』の「序にかえて」のなかに、20世紀を代表する歴史学者アーノルド・J・トイン... | レファレンス協同データベース

竹田恒泰著『現代語古事記』の「序にかえて」のなかに、20世紀を代表する歴史学者アーノルド・J・トインビー(1889-1975)の遺した言葉として、
「12、13歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」という一文があった。この言葉の出典が知りたい。

下記の資料及びデータベースを調査しましたが、「十二、十三歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」という文の出典は判明しませんでした。


なお、資料1、2にご照会の文と類似の文言をトインビーの発言として紹介していますので、参考までにご紹介します。

参考までにと紹介された資料においても出典が存在せず、とうてい実在の言葉として採用することはできないようだ。
ちなみに竹田氏といえば、在日特権が実在すると『たかじんのそこまで言って委員会』で主張し、読売テレビに謝罪をさせたばかり。
http://www.asahi.com/articles/OSK201311030014.html
数年前には、日本が世界最古の国家だと歴史教科書の巻頭言にしるしたいと語っていたこともある。
旧皇族の竹田恒泰氏はもしかして…… - 法華狼の日記
その著作は未読だが、今回の図書館の調査を見ると、当然のように信用がおけないようだ。元ネタと思われる資料があったことから、竹田氏自身が捏造や歪曲をしたわけではないにしても。


検索してみると、「アインシュタインの予言」として知られる与太話も、出典が見つからないという結果と、元ネタが別にあるのではと指摘する資料複数をあわせて回答していたりした。
アインシュタインが来日したときに残した言葉の原文が掲載されている資料があるか。「世界の未来は進むだけ... | レファレンス協同データベース

アインシュタインが来日したときに残した言葉の原文が掲載されている資料があるか。
「世界の未来は進むだけ進み、その間に幾度か争いは繰り返されて、最後の戦いに疲れる時が来る。そのとき人類は真の平和を求めて、世界の盟主をあげねばならない。この世界の盟主なるものは、武力や金力でなく、あらゆる国の歴史を抜き越えた、もっとも古く、もっとも尊い家柄でなくてはならぬ。世界の文化はアジアに始まってアジアに帰る。それはアジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。われわれは神に感謝する。われわれに日本という尊い国をつくっておいてくれたことを」
『世界に誇る日本の道徳力』 石川佐智子/著 コスモトゥーワン p22-23

原文の確認はできなかった。
アインシュタインの言葉ではなくドイツの国法学者シュタインの言葉をもとにされたものではないかという説もある。


もちろん与太話といっても、民話や伝説のような明らかな虚構についても調べることができる。私個人に縁のある地域の民話について検索してみると、いろいろ興味深い話を見つけることができた。
他に、図書館データベース側が興味深い事例をまとめたページもあり、順番に読んでいくだけで面白い。
レファレンス協同データベース事業 レファ協PickUP! 一覧
回答が良いものだけでなく、調査過程そのものが楽しいものもある。中には、質問が個人的事情すぎて、きちんと回答できていないものも混じっているが。
差し押さえられた家を取り戻すにはどうしたら良いかが書いてある本はありますか。 | レファレンス協同データベース