法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スマイルプリキュア!』第36話 熱血!?あかねの初恋人生!!

成田良美脚本に出会ったためか、田中裕太演出の良さが久しぶりに出ていたと思う。
キャラクターのかけあいはアニメらしく動かして楽しませる一方、情感が必要な場面はロングショットで風景に語らせる。特に、あかね色の空を大きく切り取った構図の多さが印象的だった。
現代社会ならば携帯電話などでも簡単に連絡がとれる。そこは長回しで走り続けるという身体性を感じさせる描写で、生身で会いに行きたいという情動に説得力を与えていた。アニメ映画『時をかける少女』のクライマックスを思い出したが、髪留めというキャラクターデザインの特徴を演出に活かしていたところ等*1、この作品独自の良さももちろんある。


基本的に勢いや確信で押し切る今シリーズには珍しく、言葉にできない感情のゆれを描いていたところも印象に残った。敵の主張を否定する場面でも、断言はしていない。
ブライアンも、ちゃんと1話内で好感が持てるキャラクターとして完成していた。印象づけするために極端な言動をとらせるなら楽だったろうが、人当たりの柔らかい性格なので難しかったはず。主人公格と対等になるだけの存在感がありつつ、あくまでゲストキャラクターにとどまる絶妙な節度。
そうしてあかねとブライアンの2人を中心としたドラマにしつつ、他の敵味方も煽ったり助けたり邪魔したりして存在感を示し、バトルも物語から浮いていない。今回は文句なし。

*1:プリンセスフォームの変化と似ているところも、偶然かもしれないが面白い。