法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『トータル・イクリプス』第1話 ”帝都燃ゆ”(前編)/第2話 ”帝都燃ゆ”(後編)

ヒロインが仲間を失うさまを描き、本編の主人公は登場していないらしく、公式サイトのキャラクターページでも“帝都燃ゆ”という独立したプロローグあつかいされている*1


前編までは、どこかで見たような要素を、あまり整合性を重視せずにまとめたようなパッチワークぶりで、作画も良いとはいえない。メカ作画と3DCGに力を入れていることはわかるが、異なる近現代を歩んだ日本というには、その過程が画面からうかがえない。
巨大人型兵器と戦艦と現代的戦闘車輌が同居している設定もわからない。宇宙へ進出する技術力を持ちながら、なぜ日本は帝政のままなのかも不明。女子ばかりが訓練している理由として、先に男子が前線に出ているからという最低限の背景設定すら、ニコニコ動画のコメントまで見て初めて知った。
稲垣隆行監督に山口宏脚本といえば『ロザリオとバンパイア』のタッグだが、序盤には力を入れることが通例なGONZO制作にして、全体的に映像が弱く、ベタなラブコメ設定なのにホラー調を強調した演出に違和感があった。同じタッグでも『砂ぼうず』は面白くてやがて悲しき物語の流れが良かったが。


しかし、後編はうまく素材をアニメとして楽しめるように消化していたと思う。個々の描写は目新しくないが、たたみかけるように戦場の点景を描いていくことで、画面に相応の熱度が生まれていた。
地面を這うように飛行するしかない設定を活かし、開けた水田を稜線目指して逃げまどうという、ロボットアニメとしてけっこう新鮮な場面もあった。いかにもポルノゲームが原点らしいフェティッシュパイロットスーツも、終盤で肉体的に傷つけられていく描写に実在性を持たせる。
前編の描写はもっとうまくできたのではないかと思うが*2、一つのプロローグとしては悪くなかった。

*1:http://muv-luv-te-anime.com/character/

*2:特に人型兵器とヒロインが出会う場面の説明台詞がひどい。