法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダムAGE』第49話 長き旅の終わり

最終回だがOPEDともに通常のまま。良くも悪くも子供向けアニメらしい。大張正己が本編原画に入っていたりと、ロボットアクションそのものは良かった。3DCGと手描き作画で描かれたラスボス兵器や、巨大兵器を対話の宣言として放つ演出も、それなりに印象的。
しかし物語は、日野社長脚本の急展開と設定使い捨てには慣れたつもりだが、一年間かけたTVアニメの最終回とは思えない。今回ようやく描写されたキャラクターとラスボス兵器が開始7分で自律兵器にとりこまれ、憎悪とともに敵を排除してきたフリットが家族と死者イメージの説得だけで改心し、敵味方が一つの目標を倒すため共闘を始め、三十年以上にわたる戦争の終結過程と火星の環境改善がナレーションで説明されただけで終わるという、とてつもない急ぎ足の展開……せめてラスボス兵器だけでも、病床のイゼルカントがヴェイガンへの贖罪のために乗っていたと設定すれば、それなりに因縁の戦いになるし、キャラクター一人分だけでも整理できるだろうに。


最終回なので、全体の感想も。とにかく、日野社長にゲームや企画を依頼するまではともかく、シリーズ構成につけるべきではなかった。設定だけなら、シンプルさが魅力に感じたところも少なくない。
シリーズ構成という立場は日野社長が要求したらしいという話もあるが、せめて経験をつんだ脚本家を補佐としてつけるべきだった。もっとも、日野社長以外の脚本もイベント消化に追われるばかりで、厚みのあるドラマは描けていなかったが。
一方で、思いつきのように物語へ投入される無数のキャラクターやメカニックを設定に起こし、ちゃんとアニメーションらしく動かして見せた映像面スタッフは、よく頑張ったと思う。メカ作画はけっこう見どころある回が多く、遠隔操縦兵器を動きで差別化してみせたところは感心もした。