法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ラストエグザイル-銀翼のファム-』#08 Distraction

時間いっぱい使った追撃戦から、新たな勢力との邂逅、主人公の一撃で終結、そして作中写真を使った特殊EDへと、娯楽として無駄のない展開をしていた。主人公が以前のパートナーを置きざりに活躍しているところが、今後の展開に興味を持たせるだけの良い苦味となっている。
映像も申し分ない。前半の作画修正には甘いところもあったが、全体としては3DCGと連携して物量戦をよく支えていた。
しかし全体として楽しめただけに、ほんの少しの不足分も各所に感じた。


敵艦隊長の格を維持しようと細部を工夫していることは伝わってくる。過去に使われた奇策には一定の対処を見せて放送時間いっぱい主人公達を追いつめ続け、状況が悪くなったことへの見切りの良さや、練度の高い兵士の命を優先する態度など、いかにも名将らしい理屈をつけ、かつ好感も持ちやすい。
しかし、圧倒的な物量差で攻めながら、過去と同様の奇策が一定の効果を上げていたのも事実。スモーク等は時間稼ぎにしかならず、主人公の攻撃を除いて被害を受けた艦は出なかったというくらいのバランスが好みかな。


主人公が素人をパートナーに選んで敵艦の弱点をつく描写も、成長や覚悟の象徴としても積み重ねてきた世界観に比べて、やや御都合主義か。単機で突入するのではなく、前半に艦隊を混乱させた友軍機と協力して蜂の一刺しを狙った、くらいの描写があっても良かった。集団戦なのだから。
以前のレース逆転もそうだが、主人公が勝つ経緯をきちんと見せようとしていることが理解できるだけに、もう一歩欲しくなるところがこの作品には多い。