法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ラストエグザイル-銀翼のファム-』#07 Weak square

半クールがすぎたところで敵味方内の勢力関係に動きが見え、奇策で切り抜けてきた主人公へ敵の手が伸びてくる。


味方内の軋みは、三角関係というか何というか、前回に描かれた対立の芽がちゃんと続いていたというところ。図書室の対立が、終盤に姫が発光信号を理解している描写に活かされていたところも地味に良かったな。
ヴァサントが内政に懸念を持ちつつ周囲を抑える一方、若いオーランは実直に作戦を展開し、老いつつも第一艦隊長をつとめるサドリが最後に全てを持っていく。そうして他の艦隊長が画面上で行動しているのに、初回に主人公にしてやられたカイヴァーンは口頭で高評価されるところが、良い意味で皮肉な描写と感じた。
調子に乗った主人公の作戦が大失敗しつつ終盤までに奇策で切り抜けて、痛みをかかえつつも今回は終わりかと油断したタイミングで敵艦隊が登場する流れも良かった。前回までの一話ごとに起承転結をつけた構成へのエクスキューズを超え、ミスディレクションとして逆用していた。


映像的には、群集描写全般が好印象。全く手を抜いていないわけではないが、老若男女から骨格の違いまで描きわけていて、ちゃんと作中世界に多様な人々が息づいているように感じさせる。
そうした細部の作りこみが、敵勢力の重要人物がそれぞれ異なる思惑と性格と能力を持っているという描写を、底から支えるわけだ。