法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%』雑多な感想

予想外に見やすい話だったことに驚き。あまり恋愛関係でただれることもなく、それっぽい描写もプラトニックに徹し、あくまで歌と芸能でキャラクターが繋がっていく。もし主人公が男性、あるいは他のキャラクター全てが女性でも、物語としては充分になりたっただろう。
才能だけで一途につっぱしる主人公も、様々な障害に直面しながら目標へ近づいていく。中盤までに全ての仲間と出会った後は、才能を作中現実の芸能へ繋げるまでの過程をじっくり描く。そして最終的に歌の素晴らしさを謳いあげる。明確なテーマを目標にしてぶれなかったシリーズ構成が素晴らしい。
若本規夫演じるシャイニング早乙女も、いつもの過剰演技で御都合主義を全て誤魔化すかと思えば、きちんと芸能の厳しさを折りにふれて主人公へつきつけた。必要な時に横紙破りしつつ、作中の現実感の基準を守る役目を同時に担当して、破綻しなかった。しかも最終回での電話を切るカットひとつで、それまでの過剰な言動が生徒に対する演技という可能性をうかがわせる。ベタな手法だが、わずかな労力で効果的。


作画も大健闘。多くが指摘するように、成長途上のアイドルの卵らしいつたなさを織り込んだダンス作画が、特に良かった。
紅優監督が撮影技術を駆使して見せる美意識は、もともとゲームの彩色が独特なので目立たなかった。しかし逆にいうと、ゲームの派手な色指定を踏襲しつつアニメとして違和感なくしあげられたのは、紅優監督だからこそなのだろう。