法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ ブレイヴ』第46話 ダンvsザジ 動乱のアスクレピオーズ

地球リセットを目前としながら、破滅願望を持つトリックスターに扇動された人種優越主義者が、脱出船内で反乱を起こす。最終回が目前なのに、何この展開すごすぎる。
いや、魔族と人間の境界を超える交流は主人公の周囲しか行えていないので、最終回の前に和解するためにこういう展開が必然ではある。脱出船には子供や老人を優先して乗せていたと明示されているので、あっさり船隊が占拠されても御都合主義ではない。


一方で主人公はトリックスターの本拠地へ少人数で殴りこみ、途中で中断して逃げられたバトルの再戦を申し込む。
仮面をかぶったザジの正体を暴こうとして、雌伏していた女王が変装して同行していたという映像的なしかけも良かった。女王が暗殺を逃れられたのは、仮面をかぶって側につかえていた替え玉のおかげだったことが、ここで活きてくる。デザイン的にかぶっていたキャラクターへ女王が変装していたところも、たぶん後付けで思いついただろう展開だけに、正体を明かした瞬間は驚かされた。
そしてカードバトルを通して仮面をくだかれたザジが、アニメの主人公らしい容貌をしているところも面白かった。仮面をした時の髪型と、仮面を外して髪型を変えて変装した時の顔立ちを組み合わせただけで、全く異なる印象となる。
ザジ本人の内面は残り話数から考えても浅いままだろうが、仮面をめぐる映像上のしかけが濃密に展開されたので、今回は満足できた。人種問題を戯画化したアイデンティティーのドラマに、素顔も真意も隠す仮面はモチーフとしてふさわしい。次回の後編でうまく物語を閉じれば、ザジのドラマは充分かな。