リニューアル後初期にもアニメ化された人気短編を再アニメ化。特にAパートは今年の映画監督をつとめた寺本幸代回*1であり、ハードルが高かったが、今回のアニメ化も期待にこたえた完成度だった。
Aパートはそーとめこういちろうコンテ。そのためドラえもんに眉毛がある劇場版仕様。アニメーター出身の演出家らしく、レイアウトが全体的に良い。
ただ、アニメオリジナル描写で登場した3Dゲーム機のイメージが貧困。ホログラムで飛び出すくらいでは、クシャクシャに丸められた答案用紙が豪華仕様になるという、一方のアニメオリジナル描写に負けている。用紙は豪華になっても点数が変わらない描写と比べ、ひねりも足りない。モデルになったとおぼしき3DSの不評が噂される状況で泉に放り込まれる展開は、偶然にしても興味深かったが。
あと、何度もアニメ化されているのだから、もう有名な「きれいなジャイアン」は、たとえば描線から異なる劇画チックにするくらいの変化をつけても面白いかも。
Bパートは動画工房協力回で、映像がいい。特に前半の、のび太がおつかいに出かけて変身し、ドラえもんと出会って路地裏に隠れるまでの一連は、陰影もキャラクターの動きも見事。
物語自体、人間が動物に変身することで生まれるコメディだから、作画が良いだけで完成度は保証されたようなもの。わざと股間へ茶をこぼすようなアニメオリジナル描写も違和感なし。結末で陽が落ちた情景で時間経過を表現する演出も決まっていて、文句のつけようがない。
*1:寄寓にも、アニメオリジナル描写で巨大ロボットが登場していた。
