法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ようこそ!野比ホテルへ/ホンネしか言えない!

Aパートはアニメオリジナルだが、秘密道具で立体映像を投影して野比家を豪華に見せかける話は原作にもある。客を外国人の幼女*1に設定したことで、色々とボロが出ても好意的に解釈してくれるわけだが、それで緊張感が途切れることもなくドタバタコメディとして完成度が高かった。幼女が他者を全く批判せず、楽しみながら許すので、全体の後味もいい。
コンテ担当はそーとめこうちろう。カメラの主観視点でホテルへ入っていく冒頭の作中TV番組という意欲的な演出が目を引いた。デジタル技術で背景画を動かしやすくなった現在、立体映像と本来の姿が同居する光景も自然に描写され、絵面そのもののシュールさも存分に味わえる。


Bパートは原作短編「ジャストホンネ」をほぼ忠実に映像化。どんでん返しでハッピーエンドを迎えた結末に、アニメオリジナルで軽いどんでん返しを加えていた。わりと自然な展開で、アレンジとしては悪くない。あと、中盤でスネ夫が『王様の耳はロバの耳』みたいに穴を掘って本音を叫んだ描写は、結末で地面にドラえもんが埋もれた描写の伏線かな。
腰繁男コンテ、三輪修作画監督なので、映像は問題なし。クローズアップを多用し、不都合な本音を隠そうと苦悶するキャラクターの表情で楽しませてくれた。

*1:少なくとも、のび太よりは幼く見える。