法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

「トモダチ」に期待しすぎるのがいけない。ほぼ本当です。米軍情報。

むしろ勝手な期待をしてしまえば友情を壊すだけ。そこに本当に友情があるかどうかは別として。
http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/Tomodachi/110313-relief.html

【在沖海兵隊キャンプS.D.バトラー基地】 第第三海兵遠征軍の海兵隊員と海軍兵は、日本本土における国際人道支援・災害救助活動に対し、積極的な支援を行っています。この「トモダチ作戦」は、日本政府が名づけたものです。

在日米国海兵隊の公式サイトで書かれていることなので、おそらく事実なのだろう。
きっと広報的な意図でつけられた名前だろうとは思っていたが、まさか日本政府側の意思で決定した呼称だとは想像していなかった。カタカナで「トモダチ」というエセ外国人台詞のような表記も、日本側の発想と考えれば納得がいく。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110406-OYT1T00031.htm

 東日本大震災を受けて米軍が展開中の被災地支援「TOMODACHI(トモダチ)作戦」を巡り、米政府は同作戦の予算が最大8000万ドル(約68億円)であることを日本政府側に伝えた。

 両政府は予算が超過した場合に備え、日本側の負担割合も含め、対応の協議に着手した。ただ、東京電力福島第一原子力発電所の事故対応予算に関しては、米政府内でも扱いが決まっていないという。複数の日米関係筋が5日、明らかにした。

 予算は米国防総省が「人道支援費」として計上した。震災発生直後、ゲーツ国防長官は人道支援費として最大3500万ドル(約30億円)を充当する意向を表明していたが、作戦の本格化に伴って予算上限が約2・3倍に引き上げられたものだ。

一般論として、被災者側が費用を負担するとしても、人員を優先的に回したこと自体は支援と呼んでさしつかえないことは注意しておく。支援活動に広報的な性格があることも、必ずしも批判すべきことではない。
だから私自身は米国の支援全般に対して感謝してもいいと思う。他国の支援と同様に。


しかし、在日米軍の支援が広報的な性格を持つことや現状の沖縄基地負担を全肯定するわけではないことを無視した言説には、注意してしすぎることはないだろう。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110407/dst11040700390001-n1.htm

 東日本大震災在日米軍による大規模救援活動が続く中、米軍普天間飛行場の移設問題を抱える沖縄県で米軍海兵隊員らに共感する声がじわりと広がっている。ところが、地元メディアは海兵隊員らの救援活動の実態を詳細に伝える記事や写真を掲載せず、活動結果が「政治利用されかねない」という“旧態依然”の主張を展開している。(宮本雅史

この産経新聞記事のような主張が存在するから、沖縄のメディアが釘を刺しておく必要があるのではないか。
3ページに分割された記事のどこを見ても、海兵隊が沖縄へ集中して駐留する必然性は指摘されていない。日本の近辺にいたために支援できたことと、沖縄へ駐留することを混同していている。それどころか出動まで3日費やしたという琉球新報社*1への反論において、日本へ駐留する意味の薄さを自ら明かしてしまっている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110407/dst11040700390001-n3.htm

 出動まで3日費やしたと批判しているが、在沖米軍情報筋によると、同遠征軍は地震発生当時、マレーシアに駐留、東南アジア各国やオーストラリアと、東南アジア一帯で災害が勃発したことを想定した災害復旧対応訓練中だった。震災を知り訓練を急遽(きゅうきょ)中止して強襲揚陸艦エセックス」で被災地に向かった。このため、時間を費やしたが、被災地でも日本側の受け入れ態勢が遅れたため支援着手が遅れたという事情があった。

マレーシアに駐留していたから遅れたという釈明で在日米軍の存在意義を喧伝するなら、東日本大震災においては日本に駐留しているから即応できたという主張から説得力が消える。継続的な支援において在日米軍基地が一定の役割をはたしたことは想像できるが、どうとりつくろっても沖縄に基地負担が集中する根拠には使えまい。
あと、前々から何度も書いてきたことだが……

  高崎経済大の八木秀次教授の話 「米軍の救援活動が『政治利用されかねない』とか『存在意義をアピールして強い違和感を覚える』といった評価を下すこと自体、彼らが政治的な思惑をもっていることを示している。多くの国民にとって米軍の救援活動がいかに有り難いものか。これが明白になっているのに沖縄メディアのこうした捉え方は心ないだけでなく、被災地の方々の素朴な捉え方とも相いれないだろう。国家的な災害に遭い、助けてもらっているのに、助けられた側が『あれはパフォーマンスだ』などとは言うべきことではない。米軍の負の側面ばかりを強調し、国家的な視点に欠けて『沖縄=米軍の被害者』の視点から抜け出せない。こうした沖縄のメディアの諸問題を端的に示した現象だろう。多くの沖縄県民は両紙を情報源にして大きな影響力がある。これでは公正な判断を妨げるのではないか」

本当に産経新聞は末尾の識者コメントの人選をもっと考えろよ! 女系天皇を拒否する根拠として「神武天皇Y染色体」とか持ち出すような人間からコメントを引いて何がしたいのだろうか。
むろん沖縄の新聞紙は「政治的な思惑」を持っている。米軍の支援活動や、その作戦名が「トモダチ」と日本政府によって名づけられたことと同様だ。それ自体は何ら批判の理由にはならない。