法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HEROMAN』第13話 ゲッタウェイ

OPとEDが変更。OPは戦闘機の上に乗って空中をめぐるヒーローマンで『交響詩篇エウレカセブン』OPを思い出していたら、本当にコンテ演出が京田知己だった。走る主人公の背後で次々にキャラクターの姿が映る演出は、『鋼の錬金術師』OP2期と似ているな。
EDは監督が担当。実写を背景として用い、作画されたキャラクターを乗せる映像が、先例はあるものの面白い。


本編は主人公ジョーイの逃亡劇。背景事情としてジョーイの選択肢をせばめる報道や、その報道に関わった個々人の不満も描く。
二手に別れて時間差で規模の異なる騒動をしかけ、検問を突破しようとする主人公達*1。主人公の、その善良な物語の主人公ならではな願いを読み取るがゆえに、逃走経路をしぼるヒューズ。
きちんと敵味方が知恵を使い、互いに心理を読み解こうとして説得力ある作戦を展開するところが素晴らしい。さらに、それぞれの作戦を選択し推測する行動自体がそれぞれの倫理観を浮かび上がらせ、ドラマへ再帰する。
そしてヒューズが小手先な作戦を超えるようにヘリで追えば*2、ジョーイは炭鉱へ逃げ込んで物語は一区切り。主人公の倫理観が結果的に主人公を助けたこと、主人公の今はいない家族も逃亡を助けた構図になっていること*3、それらのことを調査しており作戦失敗を判断できるヒューズが有能であること……シンプルな展開でいて、見せるべきキャラクター、ドラマ、サスペンス、アクションを全て盛り込み、もうしぶんのない内容だった。

*1:必然的にアクションが入るのでアクションアニメとしての見所も自然に作れる。

*2:この辺で、きちんとアメリカを舞台にしているなと感じさせる。

*3:父親の写真は今回前半にも登場、それも自然にドラマの中へ配置されていた。サスペンス性をそがずに印象を残す、巧みな伏線として機能している。