法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ジャイアンが1000人!?/スネ夫の無敵砲台

ジャイアン誕生日SPとして、アニメオリジナルストーリーの中編と、再放送*1の二本立て。しかし再放送の主役はスネ夫だし、アニメオリジナルストーリーのジャイアンもとんでもない騒動を引き起こし、良くも悪くも誕生日SPらしさが薄い。


アニメオリジナルストーリーの脚本は相内美生、コンテ演出は鈴木孝義。
秘密道具「おそだアメ」*2が登場するまでは当該の原作と同じ展開だが、それはただの踏み台。その秘密道具の効果が全く無意味となる超展開が待ち受けている。
それはサブタイトルで明かされているように、宇宙人の機械で複製されたジャイアン達。前半の5人ほどまでならドラえもんでは珍しくない絵作りだが、1000人のジャイアンがデジタルコピペされて動き回る後半の悪夢めいた映像はなかなか気持ち悪くて癖になりそうだ。藤子F遺作長編を原作とする映画『のび太のねじ巻き都市冒険記』でも同様の展開があったが、比べるとデジタルならではの演出が楽しいし、何より多数の悪人が攻撃的に状況を引っぱりまわすという主題がはっきりしており、楽しい映像にしあがっていると感じる。
しかし宇宙人が登場するまでは伏線があるとしても、そのキャラクターデザインはさほど藤子F作品らしくない。複製ジャイアンと仲良くなり、そのまま宇宙船を乗っ取って勝手気ままに行動するジャイアンも、原作初期を思わせるスラップスティックぶりで楽しいのだが、自由奔放すぎて多少の違和感も禁じえない。
オチで少しばかり誕生日らしい配慮をのび太達が見せるが、そうでもしなければ物語の収拾がつかなかったのだろう。SFらしい構成の妙ではなく、ワンアイディアのセンスオブワンダーで楽しませるギャグ回といったところ。

*1:本放送時の感想はこちら。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20081114/1226676745

*2:なめると声が遅れて聞こえる。衛星中継のようなものだが、口パクしても声が聞こえない放送事故状態の描写が楽しい。もちろん、背景音として小鳥のさえずり等を入れて、放送事故ではないと示している。